最終確認:2026年7月26日
テスラのFSD(Full Self-Driving)は、2026年に北米以外へ提供地域を広げています。ただし、現在一般のオーナー車に提供されている中心機能はFSD(Supervised)です。名称に「Full Self-Driving」とありますが、運転者による能動的な監視が必要であり、車両を自律走行車にする機能ではありません。
本記事では、Tesla公式サイト、Teslaの決算資料、オランダの認証機関RDWなどを基準に、欧州、中国、日本、HW3向けFSD v14 Lite、Robotaxiの状況を整理します。経営陣が示した将来目標と、すでに利用できる機能は分けて記載します。
01|最初に確認:FSD(Supervised)は自動運転ではない
Teslaは、FSD(Supervised)がルート案内、ステアリング、車線変更、駐車などを支援すると説明しています。一方、現在利用できる機能には運転者の能動的な監視が必要で、「車両を自律的に動かすものではない」と明記しています。
オランダの車両認証機関RDWも、同システムを「運転者が責任を持ち、常に制御を維持する運転支援システム」と位置づけています。したがって、一般オーナー向けFSD(Supervised)と、限定地域で運用されるRobotaxi/FSD(Unsupervised)は区別する必要があります。
Tesla公式:Full Self-Driving(Supervised)
RDW公式:Tesla FSD(Supervised)の認証説明
02|世界展開の現在地
| 地域 | 2026年7月26日時点の確認状況 | 注意点 |
|---|---|---|
| 米国・カナダなど | FSD(Supervised)を提供 | 運転者の監視が必要。Robotaxiとは別サービス |
| 欧州 | オランダ、リトアニア、エストニア、デンマーク、ベルギーで提供 | EU全域での一括提供ではない |
| オーストラリア・ニュージーランド・韓国 | Tesla公式の提供市場一覧に掲載 | 車両構成、ハードウェア、ソフトウェア、年式などで利用可否が異なる |
| 中国 | 現地仕様の高度運転支援機能を限定的に展開 | 米国版と同等の全面提供とは確認できない |
| 日本 | 一般提供されていない | 具体的な提供時期と対象車両は未発表 |
Tesla Japanの安全性ページは、米国、カナダ、メキシコ、プエルトリコ、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、オランダ、リトアニア、エストニア、デンマーク、ベルギーを提供市場として挙げています。機能の利用可否は、地域だけでなく車両構成、ハードウェア、ソフトウェア、モデル、年式などにも左右されます。
Tesla公式:FSD(Supervised)車両の安全性レポート/提供市場
03|欧州:5か国へ拡大したが、EU全域ではない
RDWは2026年4月10日、FSD(Supervised)について、当初オランダ国内で有効となる認証を説明しました。RDWによると、EU全域で利用可能にするには欧州委員会への提出や加盟国による手続きなど、追加の段階が必要です。
その後、Tesla公式の提供市場一覧にはオランダに加えて、リトアニア、エストニア、デンマーク、ベルギーが掲載されました。これは欧州展開が前進したことを示しますが、「2026年第2四半期にEU全域で承認」という過去の目標が実現したことを意味しません。
また、RDWは欧州版と米国版を単純に同一視できないと説明しています。各地域の交通規則や認証条件に合わせた機能差があり得るため、米国で提供されたバージョン番号や機能がそのまま欧州へ展開されるとは限りません。
04|HW3:v14 Liteの配信開始と残る論点
HW3(AI3)搭載車については、FSD v14 Liteの初期配信が2026年6月末に米国で始まり、7月に対象が広がったと複数のソフトウェア配信追跡媒体やオーナー報告で確認されています。韓国でも、対象となる米国生産のModel 3/Model Yへの配信が報告されています。
ただし、配信状況の詳細な公式対象一覧は確認できません。地域、車種、製造時期、ソフトウェアブランチなどで差があるため、「すべてのHW3車へ一斉配信された」とは表現できません。
v14 Liteは、HW3でもv14世代の改善を取り込むための軽量版です。一方、現在の機能は引き続きSupervisedであり、v14 Liteの提供開始だけでHW3によるUnsupervised走行が実現したことにはなりません。
Not a Tesla App:v14 Lite初期配信の追跡情報
Tesla Oracle:2026.20.6.11の配信状況
HW3を「FSD非対応」と一括りにしない
Tesla経営陣は、HW3でUnsupervised FSDを実現することの難しさや計算資源上の制約に言及しています。しかし、HW3向けSupervised機能の開発と配信は続いています。そのため、現時点の整理は次のようになります。
- HW3+FSD v14 Lite:Supervised機能として配信が始まったと報告されている
- HW3+Unsupervised:実現性と対応方法に重大な不確実性が残る
- HW4:将来のUnsupervised展開を見据えた主力ハードウェアだが、一般顧客向けの提供時期は確定していない
確認できる制度はFSDケイパビリティの転送
Tesla Japanは、条件を満たすHW3搭載車のFSD購入者について、現在の車両から新しいTesla車へFSDケイパビリティを転送できる期間限定制度を案内しています。対象となる新車の注文期限は2026年9月30日です。
これはFSD購入権の転送制度であり、HW3車をHW4仕様へ無償改修する制度ではありません。有償改修費、割引下取り、専用施工拠点などは公式条件を確認できないため、確定情報としては扱えません。
Tesla Japan公式:Full Self-Drivingケイパビリティの転送
05|日本:テストと一般提供を分けて考える
Tesla Japanは日本の道路環境でFSD(Supervised)のテストを進めています。テスラジャパン社長の橋本理智氏も、報道やインタビューを通じて2026年中の導入に向けて取り組む意向を示しています。これらは日本導入への会社側の姿勢を示す重要な情報です。
ただし、会社側の目標、公道テスト、車両画面に表示される日本語メニューは、規制承認や一般提供開始と同じではありません。2026年7月26日時点で、Tesla Japanの利用規約には「市内におけるオートステアリング(FSD(Supervised))は、日本では展開されていません」と明記されています。
現時点で公式に発表されていない事項は次のとおりです。
- 日本での一般提供開始日
- 対象となるモデル、年式、ハードウェア構成
- HW3向け機能とHW4向け機能の差
- 既存車への具体的なOTA配信条件
- 日本向け価格またはサブスクリプション条件
したがって、日本の既存車へ一律に提供される、あるいはHW4車だけが対象になると現時点で断定することはできません。正式発表までは、Tesla Japanによる開発・導入準備と、規制当局による承認結果を分けて追う必要があります。
06|中国:限定展開だが、全面提供とは確認できない
中国では、現地の規制やデータ要件に対応した高度運転支援機能が限定的に展開されています。一方、Teslaの地域別ページには、中国を提供市場に含める記載と、提供市場一覧に含めない記載が混在しています。
このため、「中国でFSDが全面承認された」「米国版と同じ機能が広く提供されている」と断定するのは適切ではありません。現地での名称、機能範囲、対象車両、地図・データ利用、規制上の扱いを含め、中国固有の制限がある状態として整理するのが妥当です。
無料トライアルの日程や将来の承認時期についても、SNS投稿を正式な承認予定の根拠にはせず、Teslaまたは中国当局の公表を基準に更新します。
07|Robotaxiと顧客向けFSDは別に評価する
Teslaは米国でRobotaxiサービスを拡大していますが、Robotaxiの運用と、顧客所有車に提供するFSD(Supervised)は同じではありません。Robotaxiでは都市や運行区域によって、Unsupervised運行、セーフティドライバー同乗、限定的な試験・準備などの条件が異なる可能性があります。
したがって、都市名だけを並べて「すべて無人で稼働中」と扱うことはできません。また、Teslaの安全性レポート自体が衝突率を集計しているため、「ゼロインシデントを維持」という断定も適切ではありません。
Teslaの安全性ページでは、FSD(Supervised)作動中の衝突率を公開しています。ただし同社自身が、過失を評価していないこと、通信状況などがイベントの捕捉に影響し得ること、米国平均との比較に制約があることも説明しています。安全性を評価する際は、走行距離だけでなく集計方法と比較条件も確認する必要があります。
Tesla Investor Relations:決算資料
Tesla公式:FSD(Supervised)車両の安全性レポート
08|v15とUnsupervisedの時期は「目標」
Tesla経営陣は、FSDの次期アーキテクチャや、一般顧客向けUnsupervised機能について目標や見通しを語っています。しかし、決算説明会で示される開発目標は、確定した配信日や規制承認ではありません。
今後の記事更新では、次のように分類します。
- 公式確定:実際に配信・承認・提供が始まり、公式ページや規制資料で確認できるもの
- 発表時点:決算説明会などで会社が説明した現状
- 予定・目標:経営陣が示した時期やロードマップ。変更の可能性があるもの
- 観測・推計:配信追跡サイト、オーナー報告、報道、SNSなどによるもの
まとめ
FSD(Supervised)の世界展開は実際に進んでいます。欧州ではオランダから5か国へ拡大し、HW3向けにはv14 Liteの配信開始が報告されました。一方、EU全域での提供、中国での機能範囲、日本での一般提供時期、HW3の将来的なUnsupervised対応など、未確定の事項も多く残っています。
日本について現時点で確実に言えるのは、Teslaが導入に向けたテストや準備を進めている一方、一般オーナー向けFSD(Supervised)はまだ提供されていないということです。SupervisedとUnsupervised、テストと一般提供、会社目標と規制当局の決定を分けて確認することが重要です。
主な一次情報:Tesla公式サイト、Tesla Investor Relations、オランダRDW。Not a Tesla App、Tesla Oracleなどはソフトウェア配信状況を確認するための二次情報として参照しています。

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