今週のEV業界は「軽EVの価格競争」が最大の焦点となった。BYDが軽規格専用EV「RACCO(ラッコ)」を2026年7月28日に発売すると正式表明し、改良された日産「サクラ」と補助金適用後190万円前後で真っ向勝負する構図が鮮明になった。一方、IEAは2025年の世界EV販売が2,000万台を突破したと発表。国内外で電気自動車の普及が新たな段階に入った一週間だった。
今週のハイライト
BYD、日本専用の軽EV「RACCO」を2026年夏に発売へ——航続約270km、補助金適用後200万円未満を想定
BYDが日本の軽自動車規格専用に開発した軽EV「RACCO(ラッコ)」を2026年夏に投入する。約30kWhのバッテリーで航続約270km、両側電動スライドドアを備えたスーパーハイトワゴンで、新車市場の約4割を占める軽セグメントに海外メーカーとして本格参入する。海外勢が日本独自の軽規格に専用車を投じるのは異例で、国内市場の競争環境を大きく変える可能性がある。情報源(EVsmartブログ)
【Tesla Japan】CEV補助金127万円対象・燃料代3年無料など新プロモーションを追加
テスラ・ジャパンの公式サイトで2026年6月14日、新たな購入プロモーションが追加された。「CEV補助金127万円対象」「燃料代3年間無料」「スーパーチャージャーでの充電が3年間無料」といった訴求が並び、前日にいったん終了した特典が刷新・再構成された形だ。価格と維持費の両面で訴求を強め、国内のEV購入検討者にとって実質的な負担を引き下げる動きとなっている。情報源(Tesla Japan公式)
トヨタ、次世代EVセダン「レクサスLF-ZC」量産モデルの開発を中止——SUVに資源集中
トヨタ自動車は、2027年半ばの生産開始を見込んでいた次世代EV「レクサスLF-ZC」量産モデルの開発を中止した。航続約1,000km・全固体電池の搭載を予定していたが、米国などでのEV需要の減速を受け、需要が旺盛なSUVへ経営資源を集中させる。全固体電池の研究開発自体は継続するとしており、世界的なEVシフトの「踊り場」を象徴する判断といえる。情報源(日本経済新聞)
日産、軽EV「サクラ」改良新型を発表——エントリー「S」追加でCEV補助金適用後187万円〜
日産は軽EV「サクラ」のマイナーチェンジを発表し、2026年夏に発売する。新グレード「S」(253万6,600円)を追加し、CEV補助金適用後は実質187万円〜という戦略価格を実現した。フロントフェイスを刷新したほか、1,500W対応のAC100V電源(給電機能)や充電ポートのロック機構を新設し、実用性を高めている。発売以来の人気車に手頃なエントリーグレードが加わったことで、軽EVの裾野拡大が期待される。情報源(Car and Driver)
IEA「2025年の世界EV販売が2,000万台超、新車4台に1台がEVに」——前年比20%増
IEA(国際エネルギー機関)の「Global EV Outlook 2026」によると、2025年の世界の電気自動車販売は2,000万台を突破し前年比20%増、新車販売の約4台に1台がEVとなった。中国が1,300万台超で世界の約6割を占め、新車の55%がEVに達している。世界全体でEVが主流の選択肢へと近づいていることを裏付けるデータであり、日本市場の動向を読むうえでも重要な指標となる。情報源(IEA)
今週の深掘り:BYD「RACCO」参入で激変する軽EV市場の価格競争
今週、最も読者の購買判断に直結するニュースは、BYDの軽EV「RACCO」の国内投入だ。日本の新車販売の約4割を占める軽自動車は、これまで国産メーカーの独壇場だった。そこへ海外勢が専用設計のEVを投じ、しかも改良版「日産サクラ」とほぼ同じ価格帯で競合する。軽EVが「一部の先進ユーザーの車」から「現実的な買い物の選択肢」へと変わる転換点になりうるため、ここで詳しく整理する。
背景:軽自動車という日本独自の主戦場
軽自動車は車体サイズや排気量が法律で定められた日本固有の規格で、税負担の軽さや取り回しの良さから根強い人気を持つ。EVシフトが世界的に進むなかでも、軽EVの選択肢は日産サクラと三菱eKクロスEVがほぼ独占してきた。BYDは2025年に世界販売を海外比率42%まで伸ばすなど勢いを増しており、最大の弱点だった「日本の軽市場」へ専用車で乗り込むことで、国内シェアの本格拡大を狙う。海外メーカーが日本専用の軽規格車を一から開発するのは極めて異例だ。
具体的な内容:価格とスペックの真っ向勝負
BYD「RACCO」は2026年7月28日発売、車両価格は249万円から。約30kWhのバッテリーで航続は約270km、上位仕様では300km超とされ、両側電動スライドドアを備えるスーパーハイトワゴンだ。リン酸鉄リチウム(LFP)を用いた自社製「ブレードバッテリー」を搭載する。一方の日産サクラ改良版はエントリー「S」が253万6,600円。2026年度のCEV(クリーンエネルギー自動車)補助金は軽EVで最大58万円が維持されており、補助金適用後はRACCOが190万円台前半、サクラが187万円〜と、実質価格はほぼ横並びとなる。
読者への影響・活用ポイント
軽EVの購入を検討している人にとって、選択肢が一気に広がる一週間となった。航続距離を重視するならRACCO、リセールバリューや全国の販売・整備網の安心感を重視するならサクラ、という比較軸が現実味を帯びる。いずれもCEV補助金の活用が前提となるため、申請枠や納期は早めに確認したい。EVの購入を初めて検討する方は、補助金の仕組みや維持費まで網羅したEV初心者ガイド2026も参考にしてほしい。また、軽EVは自宅での普通充電が使い勝手を大きく左右するため、自宅・外出先での充電環境についてはEV充電インフラ完全ガイド2026で詳しく解説している。導入前に合わせて確認しておくと失敗が少ない。
まとめ
軽EVの価格競争、テスラの補助金訴求、トヨタの戦略転換、そして世界EV2,000万台超え——今週は「普及の現実味」が一段と増した一週間だった。来週はRACCOの正式発売を前にした各社の動きや、CEV補助金の申請状況に注目したい。あなたの次の一台に、EVが現実的な候補として近づいている。

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