【EV価格と電池パスポート】ドイツで実質18%低下|中古EV・保証への影響を日本目線で解説

2026年7月29日更新:2026年7月20日のEVニュースから、ドイツにおけるBEV価格の変化、EUのデジタル製品パスポート(DPP)、中国で報告された一部AION Sの電池問題と保証延長、Chery傘下LEPASのグローバル展開を取り上げます。単なるニュースの列挙ではなく、日本でEVを購入する人にとって「価格」「電池情報」「保証」が何を意味するのかを整理します。

ドイツのBEV価格は5年間で実質約18%低下

ICCT(国際クリーン交通委員会)とフラウンホーファーISIは、ドイツ自動車連盟ADACのデータベースに含まれる10万件を超える個別データを分析しました。その結果、同等の特性を持つBEVの実質価格は、2020年から2025年までに約18%低下したとしています。販売モデル数は同じ期間に38車種から159車種へ増え、選択肢は4倍を超えました。

ここでいう「18%低下」は、EVの平均店頭価格が単純に18%安くなったという意味ではありません。車格、性能、装備などの違いとインフレの影響を統計的に調整し、比較可能な車両同士で価格変化を推計した結果です。SUVなど大型・高価格帯モデルの構成比が増えたため、単純な名目平均価格はむしろ上昇しています。

フラウンホーファーISI:調査結果
ICCT:調査発表

日本のEV購入者には何を意味する?

この調査はドイツ市場を対象としているため、日本で販売されるEVが同じ割合で値下がりしたことを示すものではありません。日本では為替、CEV補助金、軽EVの比率、輸入車の物流費、メーカーごとの価格戦略が異なります。

一方、車種数の増加や電池コストの低下が、同等性能のEVを以前より低い価格で提供しやすくしているという市場の方向性は参考になります。購入時には「数年前のEVより安くなったか」ではなく、現在検討している車の補助金後価格、航続距離、充電性能、保証、必要装備を同じ条件で比較することが重要です。

EU、Digital Product Passport Registryを運用開始

欧州委員会は2026年7月20日、Digital Product Passport Registryとテスト環境を公開しました。DPPは、製品固有の識別情報を通じて、性能、耐久性、修理、再利用、リサイクル、持続可能性などに関する情報へアクセスできるようにする仕組みです。

ただし、電池に関するすべての詳細データをEUの中央データベースへ集約する仕組みではありません。詳細な製品情報は原則として責任を負う事業者が分散管理し、Registryには固有識別子や関連メタデータを登録します。登録はユーザーインターフェースまたはAPIから行えると案内されています。

また、Registryが稼働したことと、すべての対象製品でDPPが義務化されたことは同じではありません。一定の大型電池に関する最初の実施期限は2027年2月18日です。現在は事業者がテスト環境、技術文書、実装ガイドなどを使い、制度開始に備える段階でもあります。

欧州委員会:DPP Registry運用開始
欧州委員会:電池パスポートの対象とスケジュール

中古EV選びへの影響

電池パスポートが整備されれば、将来の中古EV市場では、車名や走行距離だけでなく、電池の製造情報、性能、修理・再利用に関する情報を確認しやすくなる可能性があります。中古EVの電池状態をより客観的に比較するための基盤になり得ます。

ただし、現時点で日本国内の既存EVにEUと同じ電池パスポートが付与される制度ではありません。日本の中古EVを購入する場合は、バッテリー健全度の診断結果、メーカー保証の残存期間、保証継承の条件、急速充電履歴を確認できるかを販売店に尋ねるのが現実的です。

一部AION Sの電池保証を8年・30万kmへ延長と報道

中国で、CALB製177AhのLFP(リン酸鉄リチウムイオン)セルを搭載する一部のGAC AION Sについて、電池保証の走行距離上限を8年・15万kmから8年・30万kmへ延長するサービス措置が報じられました。年数は8年のままです。

これは通常の販売促進策としてではなく、高走行距離車を中心に、セルの膨張、液漏れ、絶縁異常、航続距離低下、走行中の出力低下などの苦情が報告されたことへの対応として伝えられています。無料点検や、必要に応じた修理・電池交換も報じられています。

一方、報道時点では公式リコールは発表されておらず、実際に不具合が発生した台数、原因、対象となる生産ロットは確定していません。関連する可能性がある車両台数と、実際の故障台数を混同しない注意が必要です。メーカーの公開リコール資料ではなく、業界媒体による報告として扱います。

electrive:AION Sの報告と保証措置
CnEVPost:対象セルとサービス措置の報道

「LFPなら必ず安心」と一括りにしない

LFP電池は一般に熱安定性や耐久性を特徴としますが、電池の信頼性は化学組成だけで決まりません。セルの設計・製造品質、バッテリーパックの温度管理、制御ソフトウェア、使用環境、生産ロットなども関係します。

今回の報告を、別のセルや別メーカーのLFP搭載車にも同じ問題があるという根拠にすることはできません。反対に、「LFPだから劣化や不具合は起きない」と断定することも適切ではありません。購入時には電池の種類だけでなく、保証の対象、容量維持率の条件、点検・交換を受けられる整備体制まで確認しましょう。

LEPAS L4 EVはグローバル展開方針を発表、詳細は未確定

Chery Groupの新エネルギー車ブランドLEPASは、コンパクトEV「L4 EV」をグローバル市場へ展開する方針を改めて発表しました。L4 EVは2026年の北京モーターショーで公開され、CheryのLEXプラットフォームを用いるモデルとして紹介されています。

ただし、2026年7月18日の発表では、各国の正式発売日、価格、電池容量、航続距離などの主要仕様は明らかにされていません。「世界で発売済み」とするのではなく、ブランドのグローバル展開計画を示した発表と捉えるのが正確です。日本での導入についても公式発表はありません。

Chery Group:LEPAS L4 EVに関する発表

海外発表車を見るときの注意点

海外で発表されたEVは、同じ車名でも販売国によって電池容量、充電規格、安全装備、保証が異なる場合があります。海外仕様の航続距離も、NEDC、WLTP、CLTCなど異なる試験方式が使われるため、日本のWLTC値と数字だけで比較できません。

日本で初めてEVを購入する人は、「海外で発表された」「グローバル展開予定」という情報だけで国内発売を前提にせず、日本仕様、正規販売・整備拠点、補助金対象、充電規格が正式発表されるまで待って判断するのが安全です。

電池保証で確認したい4つの条件

EVの保証を比較するときは「8年保証」の年数だけでなく、次の4点を確認しましょう。

  • 年数と走行距離:どちらか早く到達した時点で終了するのが一般的
  • 容量維持率:何%を下回った場合に保証対象となるか
  • 対象部品:電池セル、パック、制御機器、高電圧部品のどこまで含むか
  • 保証継承:中古車として購入した場合も保証を引き継げるか

保証期間が長くても、航続距離が少し短くなっただけで無条件に新品電池へ交換されるとは限りません。判定方法や除外条件を、契約前に保証書で確認することが大切です。

まとめ:EVの価値は価格だけでなく電池情報と保証で決まる

ドイツでは、性能などを調整したBEVの実質価格が5年間で約18%低下し、車種数も大幅に増えました。一方、EUでは電池を含む製品情報の透明化に向けてDPP Registryが動き始め、中国では一部の高走行距離EVに関する電池問題と保証延長が報じられています。

日本でEVを選ぶときも、車両価格と航続距離だけを見るのでは不十分です。補助金後の支払額、電池の健全度、保証条件、保証継承、修理・交換を受けられる整備体制まで確認することで、購入後のリスクを具体的に比較できます。

長谷川

2021年よりテスラ Model 3 でEVオーナーとしてのキャリアをスタート。現在はテスラ Model 3・Model Y、Hyundai KONA、日産サクラの計4車種を保有し、日常使いから長距離走行まで実践的に運用しています。
TOCJ(Tesla Owners Club Japan)全国ミーティング、New Year EV MEET 2026、ジャパンEVラリー白馬などのEVオーナーズイベントや、Japan Mobility Showの見学など、現場での情報収集にも積極的に取り組んでいます。多数の試乗経験と4台のオーナー経験をもとに、日本におけるEVの実態を一次情報として発信。購入検討から日常運用まで、実体験に基づいた信頼性の高い情報提供を心がけています。
現在の所有車:Tesla Model 3 / Tesla Model Y / Hyundai KONA Electric / 日産サクラ
テスラ車購入時に使用できる紹介コード:
https://www.tesla.com/ja_jp/referral/hasegawa44580
※この紹介リンクを経由して購入した場合、紹介者に特典が付与されることがあります。

長谷川をフォローする
EVニュース
シェアする
長谷川をフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました