【EVニュースまとめ】2026年7月29日|充電規格と電池供給網の再編(注目5選)

【EVニュースまとめ】2026年7月29日|充電規格と電池供給網の再編(注目5選) EVニュース

2026年7月29日のEVニュースを貫くのは、競争の焦点が車両単体の性能から、充電規格、電池の生産地、材料、事業採算まで広がったことである。三菱は北米でNACSを選び、BMWは米国で次世代電池を現地生産する。モロッコではLFP電池一貫工場の建設計画が、融資承認によって前進する一方、インドでは新規参入組が市場を広げ、ポルシェは需要鈍化を受けて大規模な再編へ進む。

日本の消費者にとって重要なのは、海外仕様や海外市場の数字をそのまま国内へ当てはめないことである。ただし、充電口の違い、電池コストの変化、メーカーの事業継続力は、数年後の国内ラインアップ、価格、整備や下取りにも影響し得る。購入時には航続距離だけでなく、日常的にどこで充電し、長期間どのように保有するかまで確認する必要がある。

注目ニュース

三菱の北米向け新型EV、75kWh電池とNACSを採用

三菱自動車の北米法人は、2026年秋に発売予定の2027年型「エクリプス・スポーツバックEV」について、75kWhの液冷式駆動用電池を標準搭載し、急速充電にNACS、普通充電にJ1772を採用すると公表した。日産との協業を背景に投入される北米向けモデルである。詳細は三菱自動車北米法人の発表で確認できる。

NACSの採用は、北米で充電網への接続性が商品価値の一部になったことを示す。一方、日本発売や国内仕様は今回の発表に含まれないため、日本でもNACS車が販売されると解釈するのは早い。

BMW、米国でiX5用Gen6電池を12月量産へ

BMWはサウスカロライナ州ウッドラフ工場で、新型iX5に搭載する第6世代高電圧電池の量産を2026年12月に始める。Gen6セルは、従来のGen5に比べて1Wh当たりの生産時CO2排出量を約28%減らすとしている。詳細はBMW Groupの発表を参照されたい。

電池を車両工場の近くで組み立てる動きは、輸送負担や供給途絶リスクの抑制につながる。環境性能も電費だけでなく製造段階まで評価される時代となり、将来は中古車の価値説明や法人の調達基準にも関係する可能性がある。

モロッコにアフリカ初の統合LFP電池工場

アフリカ開発銀行は、Gotion Power Moroccoへ1億ユーロを融資する。ラバト・サレ・ケニトラ自由貿易区に、正極材からセルまでを一貫生産する年産10GWhのLFP電池工場を整備し、将来は100GWhまで拡張する計画である。詳細はアフリカ開発銀行の発表にある。

LFPは、一般に高価なニッケルやコバルトへの依存を抑えやすい。工場新設だけで日本のEV価格が直ちに下がるわけではないが、電池供給の地域分散が進めば、普及価格帯EVの選択肢を支える要因になり得る。

インドEV市場、新規参入3社が上期シェア8.1%

Business StandardがFADA Researchのデータとして報じたところによると、2026年上期にマルチ・スズキ、VinFast、Teslaの新規参入3社は、インドで計1万2,244台を登録し、乗用EV市場の8.1%を占めた。市場全体の増加分の18%を担ったとされる。これは報道に基づく数値であり、各社の公式発表値とは区別して扱う必要がある。

新規参入でも、価格、車体サイズ、販売・充電網を市場に合わせれば短期間で一定の需要を獲得できることを示す。日本では販売車種や制度が異なるが、スズキなどが海外で蓄積する量産経験は、将来の商品企画を考える材料になる。

ポルシェ、追加5,000人削減へ—報道集計で約9,000人

ポルシェの公式発表で確定しているのは、2035年までに追加で約5,000人を社会的責任に配慮した方法で削減し、ドイツのツッフェンハウゼンとヴァイザッハの拠点へ累計21億ユーロを投じる計画である。既存計画などを合わせた削減規模が約9,000人になるとの数字は、Reuters配信記事による集計であり、今回の公式発表単独の削減人数ではない。

これは直ちにEVからの撤退を意味するものではなく、需要の伸び方に合わせて固定費と投資を組み替える動きと読むべきである。高価格EVでは性能だけでなく、ソフトウェア更新、整備網、残価を含む保有価値が一層問われる。

日本のEVユーザーにとっての意味

まず充電規格である。経済産業省の充電インフラ整備促進に向けた指針では、日本の急速充電器はCHAdeMO対応がほとんどで、北米ではNACSが主要規格であると整理されている。三菱のJ1772とNACSの組み合わせは北米仕様の話であり、日本へ同じ車名のモデルが導入されたとしても、国内仕様の充電口は別途確認が必要である。変換アダプターの利用可否も、形状だけでなく車両保証、通信、出力制限まで販売店に確認すべきだ。NACS端子を備えるだけで、すべてのTesla Superchargerを必ず利用できるとは限らない。車両側の認証、充電事業者による開放状況、アプリや決済方法、アダプターの適合、保証条件を車種・地域ごとに確認する必要がある。

75kWhという容量だけで実用航続距離は決まらない。車重、空調、速度、外気温、充電残量の安全余裕によって変化する。自宅充電では契約電力、充電器出力、夜間に確保できる時間が電気代と使い勝手を左右する。集合住宅では、車両を決める前に管理組合や貸主の承認、専用区画への配線、利用者別課金の方法を確認する方がよい。

BMWとモロッコの案件は、電池生産の分散とコスト低減を期待させるが、国内の車両価格や納期への波及は編集部分析であり、メーカーから発表された事実ではない。LFPかどうかだけで優劣を決めず、実際の航続距離、急速充電性能、電池保証、冬季性能を車種単位で比べるべきである。

補助金も海外価格も日本にはそのまま適用されない。国内のCEV補助金は登録時期や車種ごとに対象と交付額が異なるため、契約時点で次世代自動車振興センターの最新案内と自治体の制度を確認する必要がある。将来の下取りについては、電池容量の大きさや急速充電回数だけで劣化状態を判断すべきではない。駆動用電池のSOH(健全度)、メーカーまたは第三者の診断結果、電池保証の残期間、整備記録を確認材料にしたい。

初めてEVを購入する人へのポイント

販売店ではカタログ上の最大値ではなく、自分の生活条件を伝えて確認することが重要である。「年間走行距離」「一日の平均距離」「冬の高速道路利用」「自宅で充電できる時間」を示せば、必要な電池容量を過大にも過小にも見積もりにくい。

  • 日本仕様の普通充電口と急速充電口、利用可能な充電網を実車で確認する。
  • 自宅または集合住宅の駐車区画で、配線経路、充電出力、工事許可、課金方法を先に調べる。
  • 寒冷時や高速走行時の実用航続距離と、急速充電で回復できる距離の目安を販売店に尋ねる。
  • 駆動用電池の保証年数、走行距離条件、容量低下の判定基準を保証書で確認する。
  • 国と自治体の補助金について、対象となる登録日、申請者、保有義務、納車前に必要な手続きを確認する。

充電設備の選び方はEVの自宅充電設置ガイド2026、外出先を含む充電方法はEVの充電方法完全ガイド2026も参考になる。

まとめ

今回の5件は、EV市場が一方向に拡大するのではなく、地域ごとの充電規格、電池供給網、価格競争、メーカーの採算を調整しながら成長する段階に入ったことを示す。日本での購入判断では、海外の大型投資や販売シェアに期待するだけでなく、国内仕様の充電互換性、自宅環境、保証、補助金を契約前に確認することが最も確実である。

長谷川

2021年よりテスラ Model 3 でEVオーナーとしてのキャリアをスタート。現在はテスラ Model 3・Model Y、Hyundai KONA、日産サクラの計4車種を保有し、日常使いから長距離走行まで実践的に運用しています。
TOCJ(Tesla Owners Club Japan)全国ミーティング、New Year EV MEET 2026、ジャパンEVラリー白馬などのEVオーナーズイベントや、Japan Mobility Showの見学など、現場での情報収集にも積極的に取り組んでいます。多数の試乗経験と4台のオーナー経験をもとに、日本におけるEVの実態を一次情報として発信。購入検討から日常運用まで、実体験に基づいた信頼性の高い情報提供を心がけています。
現在の所有車:Tesla Model 3 / Tesla Model Y / Hyundai KONA Electric / 日産サクラ
テスラ車購入時に使用できる紹介コード:
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