【欧州EV市場2026】BYDとTeslaが各2.4%|Ford・Geely生産提携とTesla決算を検証

【EVニュースまとめ】2026年7月24日|欧州生産・市場シェア・決算など主要トピック(注目6選) EVニュース

2026年7月24日前後のEVニュースを、企業の公式発表、決算資料、ACEAの市場統計を中心に再検証した。今回はFordとGeely Autoの欧州生産提携、Teslaの2026年第2四半期決算、BYDとTeslaの欧州登録、XPENGの海外展開発言、OnvoのOTA、Range Rover GTを取り上げる。計画、条件付き発言、正式決定を区別し、日本でEVを選ぶ際にどこを見るべきかも解説する。

FordとGeely Auto、スペイン・バレンシアで欧州向け合弁に合意

公式確定:Ford Motor CompanyとGeely Automobile Holdingsは2026年7月23日、Fordのスペイン・バレンシア工場を活用する欧州向け合弁会社の設立で合意した。出資比率はFord 66%、Geely Auto 34%である。

予定:合弁会社の正式成立には規制当局の承認が必要で、2027年の手続き完了を予定する。最初のGeelyブランド車は2028年に生産開始予定だ。

計画される5車種は、現在生産するFord Kuga、新しいFord Bronco、Fordが設計してGeelyと共同開発するマルチエネルギー・クロスオーバー、Geelyの電動SUV 2車種である。「2028年から5車種すべてを新規生産する」という意味ではない。また、Fordの新型クロスオーバーはBEV専用とは発表されていない。

日本のEVユーザーへの意味:中国系メーカーが欧州で現地生産を増やせば、追加関税や物流費への対応力が高まる可能性がある。ただし、欧州で生産された車が日本へ自動的に導入されるわけではない。日本仕様、型式認証、右ハンドル、充電規格、販売・整備網は別に整える必要がある。

出典:Ford公式発表

Teslaの営業利益は57%減、FSD有効サブスクリプションは148万件

公式確定:Teslaの2026年第2四半期GAAP営業利益は3億9,800万ドルで、前年同期比57%減少した。営業利益率は前年同期の4.1%から1.4%へ低下した。GAAP純利益は11億1,400万ドルで、前年同期比5%減だった。

一方、FSD(Supervised)の有効サブスクリプションは世界で148万件となり、前年同期比56%増加した。北米の新規納車では55%超がFSDをサブスクリプション契約したとされる。ただしFSD(Supervised)は運転者の常時監視を必要とする運転支援であり、自動運転車として無監視で利用できることを意味しない。148万件は世界の契約数で、日本に同等機能が提供されていることを示す数値でもない。

従来記事にあった「車両受注残が2023年以来の高水準」という記述は、今回確認した公式決算発表で裏付けられる指標を確認できないため掲載しない。

決算の読み方:車両販売やソフトウェア契約が増えても、AI、ロボティクス、研究開発、設備への支出が増えれば、営業利益率は低下することがある。Tesla車の購入者に直ちに悪影響が出るという話ではないが、価格改定、サービス網、ソフトウェア提供地域、長期的なサポートを継続して確認する材料になる。

出典:Tesla公式決算発表

BYDとTeslaは欧州新車市場で各2.4%、ただし車種構成は異なる

公式統計:ACEAの2026年上半期データでは、EU・EFTA・英国を合計した新車乗用車市場で、BYDとTeslaの登録シェアはいずれも小数第1位に丸めて2.4%だった。登録台数はBYDが17万4,144台、Teslaが17万351台で、BYDが3,793台多い。

ただし、これはBEVだけの市場シェアではない。BYDの数値にはBEVに加えてPHEVなどが含まれる一方、Teslaの販売車はBEVのみである。したがって「欧州BEV市場でBYDとTeslaが同率」とは表現できない。正確には、欧州の新車乗用車市場全体におけるブランド別登録シェアである。

ACEAによれば、EU域内だけを見ると2026年上半期のBEV登録は122万890台、シェア20.7%だった。集計地域やBEV・PHEV・全パワートレインのどれを比べているのかによって、同じメーカーでもシェアの数字は変わる。対象企業と算定方法が明確でない「中国系大手5グループで約11%」という旧記述は削除する。

日本での選び方:海外シェアはブランドの勢いを知る参考にはなるが、日本での使いやすさを直接示さない。国内の販売店、認定整備工場、部品供給、電池保証、充電規格、登録時点のCEV補助金を個別に確認する必要がある。

出典:ACEA公式統計

XPENGの米国参入は、政策変更を条件とした意欲表明

発言・報告:XPENGの何小鵬CEOは、米国の政策が参入を認めるなら、米国市場への参入や現地生産を検討する意向をインタビューで示した。これは正式な米国発売計画や工場建設決定ではない。対象車種、工場立地、投資額、発売時期はいずれも未定である。

欧州では、Magna Steyrのオーストリア・グラーツ工場でG6とG9を組み立てている。南ドイツについては追加の生産・研究拠点候補として報じられている段階で、正式な立地決定ではない。

日本市場への意味:海外生産拠点が増えても、日本参入には右ハンドル仕様、型式認証、販売・整備網、交換部品、充電規格への対応が必要だ。海外での工場計画だけを理由に、日本発売や価格を予測するのは早い。

出典:CEO発言を扱った報道

Onvo、17万超のオーナーを対象にCoconut 3.1.0系OTA

報告:NIO傘下Onvoは、Coconut 3.1.0とCoconut+ 3.1.0のOTA配信を開始し、17万超のOnvoオーナーが対象になると報じられている。対象ラインアップはL60、L80、L90で、運転支援、スマートコックピット、車両制御、音声操作などを更新する。

構成は車載ハードウェアによって異なり、Nvidia Orin-X搭載車向けがCoconut、NIO製Shenji NX9031とLiDARを搭載する仕様向けがCoconut+となる。音声認識は高頻度利用場面で精度を7%改善し、70以上の車両操作コマンドを追加したとされる。

ただし、17万台すべてに同一機能が追加されるとは限らない。車種、チップ、センサー、LiDARの有無によって利用できる機能は異なり、OTAで既存車に物理的なセンサーが追加されるわけではない。

初めてEVを購入する人へのポイント:「OTA対応」という表示だけでなく、搭載コンピューターの世代、アップデート対象期間、通信費、保証、更新終了後のサポートを確認したい。安全に関係する運転支援機能は、更新後も取扱説明と利用条件を確認する必要がある。

出典:Onvo発表を扱った報道

Range Rover GTは公式プレビュー段階、発売時期と主要仕様は未確定

公式確定:Range Roverは2026年7月22日、ファミリー第5のモデルとなる「Range Rover GT」をプレビューした。新しいEMAプラットフォームを使う最初の完全電動Range Roverで、英国Halewood工場で生産する。投入当初はBEVとし、ライフサイクル後半にはHEVへ対応できる柔軟性を持たせる計画だ。

試作車は最終的なグローバル走行試験中で、追加情報は2026年後半に発表予定である。現時点では、発売時期、価格、電池容量、航続距離、充電性能、日本導入時期は公式確定していない。「2027年投入」は報道上の見通しであり、公式決定としては掲載しない。座席数についても、公開された室内の紹介と最終的な量産仕様を区別する。

日本で検討する場合:大型高級EVでは航続距離だけでなく、車幅・車重、機械式駐車場への適合、タイヤ交換費用、自宅充電器の位置、急速充電規格、正規ディーラーの高電圧整備体制が維持費と使い勝手を左右する。

出典:Range Rover公式発表

今回のニュースを読むための3つの基準

  • 登録台数の範囲:EUだけか、EFTA・英国を含むか、BEVだけか、PHEVも含むかを確認する。
  • 計画の確度:正式契約、規制承認待ち、CEOの意向、報道上の予測を分けて読む。
  • 日本での実用性:海外シェアや工場数ではなく、国内の充電、整備、保証、部品、補助制度を確認する。

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まとめ

FordとGeely Autoの合弁は規制承認を前提とする正式合意、Teslaの営業利益とFSD契約数は公式決算値、BYDとTeslaの2.4%は欧州新車市場全体のブランド別登録シェアである。一方、XPENGの米国参入、OnvoのOTA機能、Range Rover GTの発売時期は、発言やハードウェア条件、今後の正式発表を区別して読む必要がある。日本でEVを選ぶ際は、海外の話題性に加え、国内で継続して充電・整備・保証を受けられるかを優先したい。

長谷川

2021年よりテスラ Model 3 でEVオーナーとしてのキャリアをスタート。現在はテスラ Model 3・Model Y、Hyundai KONA、日産サクラの計4車種を保有し、日常使いから長距離走行まで実践的に運用しています。
TOCJ(Tesla Owners Club Japan)全国ミーティング、New Year EV MEET 2026、ジャパンEVラリー白馬などのEVオーナーズイベントや、Japan Mobility Showの見学など、現場での情報収集にも積極的に取り組んでいます。多数の試乗経験と4台のオーナー経験をもとに、日本におけるEVの実態を一次情報として発信。購入検討から日常運用まで、実体験に基づいた信頼性の高い情報提供を心がけています。
現在の所有車:Tesla Model 3 / Tesla Model Y / Hyundai KONA Electric / 日産サクラ
テスラ車購入時に使用できる紹介コード:
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