2026年7月23日前後のEVニュースを一次情報中心に再検証した。今回は、日産「リーフ NISMO」の国内発売、シリコン負極材の量産投資、欧州のBEV登録、米国の商用普通充電器、中国の電池搭載量データを取り上げる。1,040kWや20~40%といった大きな数字を、実際の車両性能や利用環境と混同しないことが重要だ。
日産「リーフ NISMO」を日本発売、価格は660万1,100円から
公式確定:日産自動車は2026年7月22日、3代目リーフをベースにした「リーフ NISMO」を日本で発売した。価格はB5 NISMOが660万1,100円、B7 NISMOが695万2,000円、B7 NISMO RECARO装着車が722万7,000円で、いずれも2WD(FF)である。
専用サスペンション、加速レスポンスや減速特性を調整するNISMOモード、空力・内外装などを組み合わせたモデルだ。単純にモーター最高出力を大幅に引き上げた高出力版としてではなく、応答性や操縦性を含む総合的なチューニングモデルとして捉えたい。
日本で選ぶ際のポイント:B5とB7では電池容量と航続距離が異なる。価格やスポーティーな装備だけでなく、普段の走行距離、自宅充電の有無、長距離移動の頻度を基準に選ぶ方が現実的だ。初めてEVを買う人は、車両価格から登録時点のCEV補助金や自治体補助を差し引いた実負担額に加え、充電設備費と任意保険も確認したい。
Silaが3億ドルを調達、シリコン負極材の米国生産を拡大
公式確定:米国の電池材料企業Silaは2026年7月21日、3億ドルの民間資金を調達した。資金はシリコンカーボン負極材「Titan Silicon」の生産拡大と、ワシントン州Moses Lake工場の第2期拡張計画などに使われる。
同工場は2025年秋に操業を開始しており、初期の年産能力は2GWh。Silaは、今後5年間で最大250GWhまで拡張できる設計だと説明している。ただし、250GWhは現時点の実生産量ではなく、将来の拡張可能量である。
Silaは、従来の黒鉛負極と比べて20~40%高いエネルギー密度を実現できると説明している。これは材料・セル側の技術説明であり、採用したすべてのEVの航続距離が一律に20~40%伸びるという意味ではない。完成車では、電池搭載量、車重、空力、熱管理、制御などによって効果が変わる。Mercedes-Benzとは車載採用、Panasonic Energyとは商業供給に関する関係が公表されている。
購入者への意味:「シリコン負極採用」だけで電池寿命や航続距離を判断せず、完成車として公表されるWLTC航続距離、急速充電性能、電池保証、実電費を確認する必要がある。
XPENGの1,040kW設備は公開段階、欧州展開の詳細は未確定
報告:XPENGはミュンヘンのメディア向けイベントで、蓄電池を併設したピーク出力1,040kWの充電設備を披露したと報じられている。蓄電池併設型は、系統から受けられる電力が限られる場所でも、一時的に高出力を供給しやすくする考え方だ。
未確定:欧州での設置開始時期、設置数、対象国、一般利用条件について、XPENG公式の具体的な展開計画は確認できない。従来記事の「欧州13カ国で1,000カ所超の自社運営拠点」という記述は削除する。
XPENGが公式に発表している欧州の充電連携は、Plugsurfingを通じて27カ国・94万口以上へアクセスできるという内容である。これはXPENGが94万口を所有・運営するという意味ではなく、提携ネットワークで利用可能な充電口数だ。
最大出力の読み方:充電設備が1,040kWでも、乗用EVがその出力をそのまま受け入れるわけではない。実際の速度は、車両側の最大受入出力、電池温度、充電率、充電器内の出力配分で決まる。日本で充電性能を比較するときも、最大値だけでなく10~80%の所要時間や利用できる充電器の分布を見るべきだ。
出典:XPENG・Plugsurfing公式発表
参考:1,040kW設備に関する現地報道
EU13カ国の6月BEV登録は23万8,897台、41.5%増
公式暫定値:European Alternative Fuels Observatory(EAFO)によると、2026年6月のデータが揃ったEU13カ国で、BEV新規登録は23万8,897台となり、前年同月比41.5%増加した。新車乗用車に占めるBEV比率は25.3%。公共充電口は117万493口で、前年同月比18.0%増だった。
ただし、これはEU27カ国全体の6月確定値ではない。対象はベルギー、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、スロベニア、スペイン、スウェーデンの13カ国である。
ドイツは8万4,057台、フランスは5万5,851台と大きく伸びた一方、アイルランドとスウェーデンは前年同月を下回った。「欧州全体が一様に41.5%成長した」とは解釈できない。
日本市場との比較で注意したい点:市場シェアは、補助制度、社用車税制、充電環境、車種構成などに左右される。欧州の比率だけを見て日本の普及速度を単純評価するのではなく、自宅充電比率や軽自動車市場など、日本固有の条件も合わせて考える必要がある。
Schneider Electric、米国向けCharge Proを刷新
公式確定:Schneider ElectricはEV Connectと連携し、米国向け商用Level 2普通充電器「Charge Pro」の改良版を発表した。集合住宅、職場、フリート、ホテル、商業施設などを対象とする。
- 11.5kW/19.2kW仕様、最大80A
- J1772とNACSのコネクターに対応
- QRコードからアプリやアカウントなしでも充電開始可能
- 遠隔監視、利用者管理、利用記録、課金を行うEV Connect Software+を統合
- 利用開始時にSoftware+の1年間利用を含む
- ハードウェア保証は5年
これは米国市場向けの製品であり、日本でそのまま使える製品として紹介するものではない。ただし、集合住宅や職場充電では、充電器の出力以上に、複数台の負荷制御、利用者認証、課金、故障監視、保守体制が重要だという点は日本にも共通する。
XiaomiはCATL搭載量構成でLi Autoと同率6.8%
報告:China Passenger Car Association(CPCA)の2026年6月電池搭載量データを基にした報道では、CATLの供給先別構成でXiaomi AutoとLi Autoが各6.8%となり、Geely Auto、Changanに続く同率3位だった。NIOは6.2%とされる。
ただし、これは完成車販売台数ランキングでも、Xiaomiの全車両に搭載された電池の市場占有率でもない。メーカーごとに1台当たりの電池容量や、CATL以外の電池メーカーを採用する比率が異なるため、6.8%だけで各社の生産規模を比較することはできない。「Xiaomiの生産拡大を示す一つの材料」と位置付けるのが妥当だ。
日本のEVユーザーへの意味:電池メーカーの分散やLFP・三元系の使い分けは、車両価格、供給安定性、充電特性に影響する。ただし購入時にはセルメーカー名だけでなく、完成車メーカーが提供する電池保証と修理・交換体制を優先して確認したい。
初めてEVを選ぶ人が今回のニュースから確認できること
- スポーツグレード:最高出力だけでなく、足回り、タイヤ、乗り心地、航続距離、価格差を試乗で確認する。
- 次世代電池:材料段階の性能向上率と、完成車の航続距離・充電時間を分けて読む。
- 超高出力充電:充電器側の最大値だけでなく、自分の車が受け入れられる出力と国内の設置状況を確認する。
- 集合住宅・職場充電:出力に加え、負荷制御、課金、認証、保守を含む運用設計を確認する。
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まとめ
リーフ NISMOの価格と国内発売、Silaの3億ドル調達、EAFOの13カ国暫定値、Charge Proの米国向け刷新は公式情報で確認できる。一方、シリコン負極の性能向上率をそのまま完成車の航続距離に置き換えたり、XPENGの提携充電網を自社運営拠点として扱ったりするのは適切ではない。EVのニュースは、材料、設備、車両、市場統計のどの段階の数字なのかを見分けることが重要である。


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