2026年7月22日前後のEV関連ニュースを、7月24日までに公表された一次情報で再検証した。今回は、現代自動車グループのV2X構想、英国の家庭電力VAT(付加価値税)引き下げとEV購入補助、空港の急速充電計画、電池リサイクル、公用車の電動化を取り上げる。発表済みの事実と、今後の計画・見通しを分けて整理し、日本でEVやV2Hを検討する際の注意点も解説する。
現代自動車グループ、V1G・V2G・V2Hを「AllDay Energy」に統合
現代自動車グループは2026年7月24日、充電とエネルギーサービスを「AllDay Energy」の名称で統合すると発表した。対象には、電気料金が安い時間帯などを選んで充電するV1G(スマート充電)、車両から電力網へ電気を戻すV2G、車両から住宅へ給電するV2Hが含まれる。
ただし、英国で2026年後半にKia Appを通じて始まる初期サービスは、まずV1Gのスマート充電が中心である。V2GやV2Hの双方向給電が同時に全面提供される、という発表ではない。対応車種、双方向充電器、電力会社との連携、各国の制度が整った地域から段階的に広がる計画だ。
日本のEVユーザーへの意味:「V2X対応車を買えば、すぐ家庭の非常用電源として使える」とは限らない。V2Hには双方向充放電器、電気工事、設置場所、契約電力や系統連系の確認が必要で、車両側の対応方式も重要になる。初めてEVを買う人は、車両価格だけでなく、V2H機器と工事費、自治体補助、停電時に使いたい家電の容量まで含めて比較したい。
英国、家庭用電力のVATを5%から0%へ
英国政府は、2026年10月1日から家庭用電力のVATを5%から0%へ引き下げると発表した。これはEV充電だけを対象とする減税ではなく、家庭で使う電力全体が対象である。そのため、自宅でEVを充電する世帯も恩恵を受ける。
一方、公共のEV充電器から供給される電力は原則として標準税率20%の対象で、家庭充電との税率差は残る。家庭充電を利用できない世帯の具体的な比率については、今回参照した政府資料で裏付けられる数値を掲載していない。
日本での読み方:日本でも、自宅充電は夜間料金プランや太陽光発電を活用できる一方、公共急速充電は月額会費、時間課金、従量課金など事業者ごとに条件が異なる。集合住宅や月極駐車場の利用者は、購入前に「自宅または生活圏で継続して充電できるか」「月に何回公共急速充電が必要か」を確認すると、実際の維持費を見積もりやすい。
出典:英国政府(家庭用電力VAT)
出典:英国政府(公共EV充電のVAT)
Fiat 500eとAbarth 500e、英国のElectric Car Grant最高区分に
Fiat 500eとAbarth 500eは、英国のElectric Car GrantでBand 1に入り、最大3,750ポンドの値引き対象となった。Fiat公式発表では、補助適用後の500eの開始価格は1万7,245ポンドである。補助は販売店が車両価格から差し引く仕組みで、購入者が政府へ直接申請する制度ではない。
これは英国の制度であり、日本のCEV補助金とは別物だ。日本で輸入EVを比較する場合は、車両価格だけでなく、登録時点に適用されるCEV補助金、自治体補助、充電規格、正規販売・整備網、保証条件を国内仕様で確認する必要がある。
出典:英国政府 Electric Car Grant
出典:Fiat/Stellantis公式発表
次期Volkswagen AmarokはBEV・PHEVを計画、仕様と発売時期は未確定
Volkswagen Commercial VehiclesのStefan Mecha氏は、次世代AmarokについてBEVとPHEVを計画していると説明した。ただし、これは量産仕様の正式発表ではない。プラットフォーム、バッテリー容量、航続距離、けん引能力、発売日、日本導入はいずれも未確定である。2029~2030年という時期は現時点の見通しとして扱う必要がある。
ピックアップトラックでは、日常の航続距離だけでなく、積載・けん引時の電費低下、充電口の位置、長い車体で利用できる充電区画などが実用性を左右する。日本導入が具体化した段階で、国内の充電環境と車幅・取り回しを含めて評価すべきだ。
ルーマニア最大空港に200kW級充電器7基・14口を設置する計画
PPC Blue Romaniaは、ブカレストのアンリ・コアンダ国際空港に最大200kWの充電器7基、計14口を設置する計画を発表した。設備の合計定格は1.4MW、系統からの最大受電は1.2MWとされる。一次情報は設置計画の発表であり、「すでに全基が稼働した」とは断定しない。
また、200kWという表示は各車が常に200kWで充電できることを意味しない。2口同時利用時の出力配分、車両側の最大受入出力、バッテリー温度、充電率によって実際の速度は変わる。日本で急速充電器を選ぶ際も、最大出力だけでなく、充電口数、出力共有、混雑、料金体系を合わせて確認したい。
Cylib、年間最大1万トンの機械処理施設を取得
ドイツの電池リサイクル企業Cylibは、バイエルン州Wernberg-Köblitzの機械処理施設を取得した。年間最大1万トンの使用済み電池などを処理し、ブラックマスを同社の後工程へ供給する計画である。2026年第4四半期の稼働開始は、ドイツ当局の承認を条件としている。
「1万トン」は施設へ投入できる処理能力であり、回収されるリチウムやニッケルなどの金属量そのものではない。電池リサイクルは、回収・放電・解体・破砕などの前処理と、ブラックマスから材料を取り出す精製工程に分かれる。EVを選ぶ個人に直ちに価格メリットが出る話ではないが、将来の資源調達、電池の廃棄管理、中古EVの循環を支える基盤として重要だ。
ベトナム・ハイフォン市、公用車にVinFast VF 8を99台導入
ハイフォン市はVinFastの電動SUV「VF 8」99台を調達し、98の行政区域へ配備した。市の公式発表によると、契約額は約840億ドンで、予定価格と比べて約50億ドン(約5.5%)を節減した。
公用車のEV化は、車両を導入するだけでは完結しない。各車の1日の走行距離、帰庫場所、夜間充電、充電器の保守、停電・災害時の運用を組み合わせる必要がある。日本の自治体や事業者が社用車をEVへ切り替える場合も、定時帰庫する車両から始めると充電計画を立てやすい。
今回のポイント:日本で初めてEVを選ぶ人が確認したい3点
- 自宅充電の可否:戸建て・集合住宅・月極駐車場で設置条件が異なる。公共充電だけで運用するなら、生活圏の場所、混雑、料金を確認する。
- V2Hの導入条件:対応車であることに加え、双方向充放電器、電気工事、設置スペース、補助制度を確認する。
- 「最大出力」の読み方:車両と充電器の双方が対応していても、電池温度や充電率、出力共有で速度は変わる。普段の滞在時間に必要量を補給できるかで判断する。
まとめ
V2XはEVをエネルギー資源として活用する可能性を広げる一方、実利用には車両、充放電器、住宅設備、電力制度の連携が欠かせない。英国のVAT変更は自宅充電の優位性を強めるが、公共充電との負担差も残す。購入補助、急速充電、電池リサイクル、公用車導入のニュースも、金額や最大出力だけでなく、対象地域、開始条件、運用方法まで確認することが重要である。


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