EVで長距離旅行はどこまで現実的か?東京→軽井沢2泊3日を3車種でシミュレーション

EV遠征

はじめに

「EVで長距離旅行は怖くない?」「充電が途中で切れたらどうするの?」

これはEVへの乗り換えを検討している人から必ずといっていいほど出る質問だ。実際に複数のEVを所有し、日常的に長距離を走る筆者の経験から言えば、車種と充電戦略の選択によって、その体験は天と地ほど違う

本記事では、長距離EV旅行の基本的な考え方と旅程の組み立て方を解説した上で、3つの異なるキャラクターを持つEVを使い、同じルート(東京湾岸→軽井沢、2泊3日)で充電体験をシミュレーションする。ゴールデンウィーク初旬(5月上旬)という、EVにとって最も条件の良い季節を想定している。


EV長距離旅行の基本的な考え方

ガソリン車との根本的な違い

ガソリン車との最大の違いは「エネルギー補給の時間と場所の制約」だ。ガソリンスタンドは全国に約3万カ所あり、給油は5分で完了する。一方、EV急速充電は施設数がまだ限られており、充電時間も20〜40分かかる。

しかしこれは「不便」ではなく「違う作法」だと理解するのが正しい。EV旅行には独自のリズムがある。「ガソリン車と同じ感覚で旅行しようとすると失敗し、EVならではの作法で臨むと快適になる。

EV旅行の3つの基本原則

① 出発前に満充電

当たり前に見えるが、これが最も重要だ。自宅充電を持つオーナーなら前日夜にセット予約しておくだけで、翌朝は満充電で出発できる。満充電で出発できるかどうかで、途中の充電回数が1回減ることも多い。

② 大容量EVは「残量20%前後まで走り切る」でいい

初めてEVで長距離旅行をするとき、多くの人が「残量が減ってきたら早めに充電しなければ」と焦る。しかし、現在の大容量EVにとって、残量20%前後まで走り続けることはまったく問題ではない。

理由は2つある。第一に、残量が少ない状態(20〜80%)ほど急速充電器の出力が最大化される仕組みになっている。SOCが高くなるほどバッテリー保護のため充電速度が自動的に落ちるため、SOC50%から充電を始めるより、SOC20%から充電した方が単位時間あたりの充電量が多い。第二に、Model Yのロングレンジで75kWhのバッテリーを搭載する車が残量20%でも約150km走れる実力を持っており、充電スポットの間隔(通常50〜100km程度)に対して十分な安全マージンがある。

「残量が減ったら充電が怖い」という感覚はガソリン車時代の思い込みだ。大容量EVにとって残量20%は「危険水域」ではなく、「ここから充電を始めると最も効率がいい」ゾーンだと理解しておくと、旅中の充電判断が大きく変わる。

ただし軽EV(N-ONE e:など)はバッテリーが小さいため、この考え方をそのまま適用するのは禁物だ。次の充電スポットまでの距離を考慮した、より細かい残量管理が必要になる。

③ 車種に合わせた充電戦略の設計

SUVクラスの大容量EVと軽EVでは、長距離旅行の作法が根本的に違う。同じルートでも、充電回数・停車場所・所要時間は大きく異なる。出発前に車種の特性に合わせた「充電計画」を立てることが必須だ。

5月初旬という季節的なアドバンテージ

今回の想定はゴールデンウィーク初旬(5月上旬)だ。これはEVにとって最も電費の良い季節にあたる。

  • 気温:15〜25℃。バッテリーが最も効率よく機能する温度帯
  • エアコン:冷房は必要だが暖房ほどの電力を消費しない
  • 電費:真冬(0℃以下)と比べて20〜30%改善する

ただし、GWは交通量が多い。関越道は連休中に大渋滞が発生しやすく、高速SA・PAの急速充電器には待ち行列ができることがある。この点は各シミュレーションで触れる。


今回の旅程概要

ルート

東京湾岸(江東区タワーマンション)→ 首都高湾岸線→ 中央環状線→ 関越道→ 上信越道→ 碓氷軽井沢IC→ 軽井沢(2泊)→ 往路逆順で帰宅

距離

区間距離
東京湾岸〜碓氷軽井沢IC約195km
軽井沢市内移動(2日分)約80km(推定)
帰路約195km
往復+現地合計約470km

3車種の設定

車種充電方式特徴
Tesla Model Y (ロングレンジAWD)スーパーチャージャー縛り大容量・超高速充電
Toyota bZ4X (Z/4WD・2025年改良版)CHAdeMO急速充電高電費・150kW対応
Honda N-ONE e: (e: L)CHAdeMO急速充電(50kW)軽EV・短航続

3車種のスペック比較

まず各車両の基本性能を整理しておく。

項目Model Y LRbZ4X Z/4WDN-ONE e: L
バッテリー容量約75kWh74.7kWh29.6kWh
WLTC航続距離682km746km295km
最大急速充電出力250kW(V3/V4)150kW50kW(CHAdeMO)
5月高速実電費(目安)約5.5〜6.5km/kWh約6.0〜7.0km/kWh約4.5〜5.5km/kWh
高速走行実航続(目安)約410〜490km約450〜520km約133〜163km
充電10→80%の時間約20〜25分(V3)約28分(150kW)約30分(50kW)

電費について: カタログ値(WLTC)は市街地・郊外・高速の複合値。高速100km/h巡行では電費が落ちるため、高速主体の旅行では実航続がカタログ値の70〜80%程度になることが多い。ただしGW特有の渋滞では回生ブレーキが多く働き、電費が改善することもある。


シミュレーション①:Tesla Model Y(スーパーチャージャー縛り)

車両特性の整理

2025年改良版Model Y(ロングレンジAWD)は、実走行で最も電費とインフラが嚙み合っているEVだ。バッテリー約75kWh、V3スーパーチャージャー(最大250kW)では15分で約261km分を充電できる。5月の高速走行では実電費6.0km/kWh程度が期待できる。

スーパーチャージャーの強みは「プラグを挿すだけ」の操作性だ。アプリ認証も不要で、テスラ車を駐めてコネクタを接続するだけで課金・充電が始まる。また、目的地をセットすると車両ナビが自動で充電スポットを組み込み、バッテリーのプレコンディショニング(充電効率を高めるための事前加温)まで行う。

ルート上のスーパーチャージャー

東京〜軽井沢ルートのスーパーチャージャーはすべて高速道路外に立地しており、IC近くの商業施設や道の駅に設置されている。

SC名場所基数最大出力備考
高崎玉村SC道の駅「玉村宿」(高崎玉村スマートIC直近)6基V3/250kWETC2.0一時退出対応(3時間)
イオンモール高崎SCイオンモール高崎 東平面駐車場4基250kW2026年1月OPEN
軽井沢SC軽井沢・プリンスショッピングプラザ P34基V3/250kW24時間営業

高崎には2カ所のSCが使えるようになった。特にETC2.0の「賢い料金」対応の高崎玉村ICは、高速を降りてSCで充電し、3時間以内に再進入すると高速料金が連続扱いになる。食事をしながら充電できる理想的な中継点だ。

往路シミュレーション(Day 1)

時刻行動バッテリー状況メモ
7:00出発(自宅満充電)100%(682km表示)前夜にタイマー充電完了
9:00〜10:00関越道・上信越道を快走約50〜60%(首都高+渋滞分消費)GW渋滞で電費は良好傾向
10:00碓氷軽井沢IC到着約45〜55%残航続240〜300km超。充電不要で余裕
昼頃軽井沢プリンスSCで充電(任意)45%→85%ショッピング・昼食中に。20〜25分で完了

往路の評価: 充電0回でも軽井沢に到着できる。任意で現地到着後に昼食と合わせてプリンスSCで補充するのが最も効率的な運用だ。

ここで重要なのは、残量45〜55%で到着しても「電欠リスク」はゼロに等しいという点だ。大容量バッテリーが生み出す心理的余裕が、Model Yの長距離旅行体験の核心にある。高崎玉村SCに立ち寄る必要があるのは、「残量が心配だから」ではなく「食事休憩の良い口実になるから」程度に考えればいい。

現地移動(Day 2〜3)

軽井沢市内の移動距離は2日間で約80km。バッテリー残量が十分なため、夜間に軽井沢プリンスSC(または宿泊ホテルの普通充電)を利用するだけで翌日のフル移動が可能だ。

軽井沢プリンスSCは24時間営業のため、夕食後や深夜に充電する戦略も取れる。ただしGW中の夕方〜夜は混雑するため、食事や買い物のタイミングで昼間に先に充電しておくことを推奨する。

帰路シミュレーション(Day 3)

時刻行動バッテリー状況
9:00出発(前夜プリンスSCで85%充電済み)85%
11:30〜12:00高崎玉村SC立ち寄り(任意・昼食)約35〜45% → 80%
13:30〜14:00東京湾岸帰着約50〜60%(SC立寄り有)または約15〜25%(無充電直行)

帰路の選択肢は大きく2つだ。高崎玉村SCで昼食ついでに20分充電して余裕の帰宅を選ぶか、無充電のまま東京まで直行するかだ。残量15〜25%での帰宅は「ギリギリ」に聞こえるが、数字の上では約100〜170km分の余力が残っている。大容量EVを使い切って帰るのは、電費の良い使い方であり、むしろ正しい運用だ。

GW特有のリスク

  • 軽井沢プリンスSCは4基あるが、GWピーク時は混雑する可能性がある。アプリで混雑状況を事前確認できるため、チェックしておくこと
  • 渋滞中は電費が向上するため、「渋滞=不利」ではない

総評

難易度:★☆☆☆☆(最も簡単)

スーパーチャージャー縛りは、裏を返せば最大のアドバンテージを意味する。充電時間が短く、操作が簡便で、ナビが自動で充電計画を組んでくれる。東京〜軽井沢クラスの旅行では、充電に気を取られることなく旅そのものを楽しめる。EVで長距離旅行をするなら、現時点ではモデルYのスーパーチャージャー体験が「ベストプラクティス」の基準になっている。


シミュレーション②:Toyota bZ4X(CHAdeMO、150kW対応)

車両特性の整理

2025年10月の大幅改良版bZ4X(Z/4WD)は、電費性能が飛躍的に向上した。カタログ電費9.0km/kWh(G/FWD)は軽EVを凌ぐレベルで、バッテリー74.7kWhと組み合わさり、WLTCモード航続距離は最大746kmに達する。

充電性能も進化しており、150kW対応のCHAdeMO充電器では約28分で10→80%まで充電できる。ただし高速SA/PAに設置されているCHAdeMOの多くは50kW出力であり、150kWフルに活かせる充電器はまだ限られている点は注意が必要だ。

ルート上のCHAdeMO充電環境

高速上のSA・PAにはCHAdeMO急速充電器が設置されている。ただし基数は少ない(1〜2基が一般的)点が最大の課題だ。

充電ポイント場所出力基数備考
高坂SA(上り・下り)関越道(東松山)50kW1〜2基旧型機器。口コミでも更新要望が多い
嵐山PA(上り)関越道(嵐山)90kW2基2025年1月に新設。マルチ器で高速充電可
嵐山PA(下り)関越道(嵐山)50kW1基旧型。上りと異なる点に注意
上里SA(上り・下り)関越道(上里)90kW6基ニチコン製マルチディスペンサー(総出力200kW、パワーシェア)。1〜2台同時なら最大90kW確保。関越道の中核充電拠点
横川SA(上信越道)上信越道50kW1〜2基上り坂前の重要ポイント
佐久平PA上信越道50kW1〜2基軽井沢まで20km圏
軽井沢・プリンスSP(西側)軽井沢市内50kW2基GW中は混雑しやすい

「緑のマルチ」上里SAについて: ニチコン製マルチディスペンサー(6口)は最大出力90kWを誇るが、システム総出力は200kWをパワーシェア方式で分配する構造だ。3台以上の同時充電では1台あたりの出力が低下する(例:4台同時で各40〜50kW程度)。一方でGW中でも6口あることで「全基満車」になりにくいという利点があり、関越道の事実上の主力充電拠点となっている。

往路シミュレーション(Day 1)

時刻行動バッテリー状況メモ
7:00出発(自宅満充電)100%(746km表示相当)
9:00〜9:30上里SA(下り)到着約55〜65%東京から約120km。GW渋滞で電費は良好な場合も
9:30〜10:10上里SAで充電(30〜40分)55%→85%程度90kW × 6口の緑マルチ。食事・休憩と並行。2台同時なら90kW近く出る
11:30碓氷軽井沢IC到着約75〜80%上信越道の上り坂を経ても余裕

往路の評価: 実はバッテリー容量74.7kWhの大きさから、往路は充電なしで軽井沢まで到達できる可能性が高い。東京湾岸〜軽井沢の約195kmに対し、満充電時の実航続は高速走行でも350〜400km以上見込めるためだ。

帰路を考えると、軽井沢で一度充電しておくことは合理的だ。ただしその場合も「残量がなくなったから」ではなく「この食事中にちょうど充電できる」というタイミングで充電するのが正しい作法だ。大容量バッテリーのbZ4Xは、残量30〜40%で充電を始めた方が充電速度が高く保たれる。

現地移動(Day 2〜3)

軽井沢の現地移動では、軽井沢プリンスショッピングプラザ(ウェスト側)のCHAdeMO 50kW 2基が主力となる。プリンスホテルやプリンスビラにも普通充電器(6〜8kW)が複数設置されており、宿泊先によっては夜間に自然充電できる。

ただし軽井沢内のCHAdeMO急速充電器は基数が少なく、GW中の人気スポット付近では充電待ちが発生しやすい。30分以内に充電が終わった後も放置される車両があるとの口コミもあるため、余裕を持った充電タイミングの設定が重要だ。

帰路シミュレーション(Day 3)

時刻行動バッテリー状況
8:00出発(プリンスSPで前夜充電、85%)85%
9:00上信越道・関越道へ約80%
10:00〜10:40上里SA(上り)で充電(30〜40分)35〜40%→75%
12:30東京湾岸に帰着約45〜55%

帰路は上里SA(上り)の90kW × 6口マルチを活用するのが最合理的だ。食事を組み合わせれば、充電のために時間をロスする感覚はほとんどない。GW最終日の帰路は渋滞が集中するため、できる限り早朝出発で上里SAの混雑前に充電を済ませておくことを推奨する。

CHAdeMOインフラの現在地と課題

関越道の充電環境は過去数年で大きく改善した。上里SA(上り・下り)には90kW × 6口のニチコン製マルチディスペンサーが設置されており、関越道の事実上の主力充電拠点として機能している。嵐山PA(上り)も2025年1月に90kW器が新設された。

一方でいくつかの課題も残る。

マルチ器のパワーシェア問題: 上里SAのマルチ器は総出力200kWを6基で共有する構造だ。1〜2台なら各90kW近く出るが、3台以上になると1台あたりの出力が自動的に按分され低下する(4台同時では1台あたり40〜50kW程度)。GWのピーク時間帯には満車になるケースも報告されており、特定台数での出力低下を頭に入れておく必要がある。

高坂SAはまだ旧型: 上里SAより東京側に位置する高坂SAはいまだ旧型機(50kW、1〜2基)のままで、ユーザーからの更新要望が多い。「高坂SAで充電してから先に進む」という計画は、50kWの制約を前提に組む必要がある。

CHAdeMO操作の手間: テスラSCと異なり、CHAdeMOはeMP会員カードまたはアプリでの認証が必要だ。出発前にアプリのダウンロード・登録を済ませておくことを強く勧める。

総評

難易度:★★★☆☆(計画次第で快適に)

bZ4Xの電費性能と大容量バッテリーは、東京〜軽井沢クラスの旅行では十分な実力を持つ。最大の弱点はCHAdeMOインフラの基数が少なく、GWのような混雑シーズンで充電待ちが発生しやすい点だ。充電計画を余裕を持って組み、「混んでいる時間帯より早めに充電」する意識が重要になる。


シミュレーション③:Honda N-ONE e:(軽EV、CHAdeMO 50kW)

車両特性の整理

2025年9月発売のN-ONE e:は、バッテリー29.6kWh・WLTC航続295kmを誇る軽EVだ。電費性能は9.52km/kWh(WLTC)と国内EVトップクラスで、市街地や低速走行での効率は特に高く、試乗レポートでは12km/kWh超を記録した例もある。

しかし高速道路走行(100km/h巡行)では空気抵抗と車重の影響で電費が落ちる。軽自動車の形状・重量特性から、高速での実電費は4.5〜5.5km/kWhに下がることが想定される。バッテリー容量は29.6kWhで、実質有効容量は24〜26kWh程度とすると、高速走行での実航続は約110〜145kmになる計算だ。

この数字が、今回の旅行シミュレーションにおいて最大のボトルネックになる。

距離と航続のギャップ

東京湾岸から軽井沢まで約195km。これは高速走行時の実航続110〜145kmを大幅に超えており、途中1〜2回の充電は必須だ。

さらにGWという条件が加わると、SAの充電器混雑による待ち時間も加算される。

往路シミュレーション(Day 1)

時刻行動バッテリー状況メモ
7:00出発(自宅満充電)100%(295km表示)高速では表示値より実航続は落ちる
8:15〜8:30上里SA(下り)到着約55〜65%(約120km走行)高速80〜100kmで電費悪化。上里は90kW × 6口で待ちリスク低
8:30〜9:10上里SAで充電(30〜40分、50kWで受電)55%→85%程度N-ONE e:は最大50kW受電。90kW器に繋いでも車両側が50kWに制限
10:30横川SA(上信越道)到着約40〜50%
10:30〜11:10横川SAで充電(30分)40%→70%程度2回目の充電。50kW機が多い
12:30碓氷軽井沢IC到着約45〜55%

往路の評価: 2回の充電が必要で、GW混雑時には待ち時間も加わる。最低でも出発から5時間以上かかる可能性がある(Model Yの同じルートは約4.5時間)。それ自体が問題ではないが、「充電のためにSAへ立ち寄る」という体験は旅のリズムに影響する。

現地移動(Day 2〜3)

軽井沢での現地移動(計80km)においては、N-ONE e:の真価が発揮される。

  • 軽井沢市内の低速走行では電費が12km/kWh前後に改善する
  • 旧軽井沢・千ヶ滝・アウトレットなど人気エリアへの移動にはバッテリーが十分
  • 夜間に軽井沢プリンスSP(CHAdeMO 50kW)または宿のコンセントで充電するだけで翌日は満充電で動ける

軽EVのコンパクトさは、軽井沢市内の細い道や駐車場で大きなメリットになる。ここでは「軽EV最強」の局面だ。

帰路シミュレーション(Day 3)

時刻行動バッテリー状況
9:00出発(前夜充電で90%)90%
10:30横川SA着約55〜60%
10:30〜11:10横川SAで充電(30分)55%→80%
12:00〜12:40上里SA(上り)で2回目充電(30分・任意)40%→70%
14:30〜15:00東京湾岸帰着約20〜30%

帰路も充電は基本2回構成だ。上里SA(上り)の90kW × 6口は、N-ONE e:の最大受電能力50kWの制約から出力は50kWまでしか活かせないが、6口という口数の多さが「前の車が充電中で使えない」リスクを大きく下げる。旧型50kW × 1基しかなかった時代と比べると、N-ONE e:での長距離旅行の現実味は格段に上がっている。

N-ONE e:の正直な評価

N-ONE e:は**「東京〜軽井沢を一気に走る」ためのEVではない**。軽EVとしての電費効率は優秀だが、バッテリー容量29.6kWhという制約は高速長距離旅行における構造的な限界だ。

ただし、これを「欠点」と断言するのは公平ではない。N-ONE e:は日常の街乗りから郊外ドライブまでを最も低コスト・最高効率でこなすことを最優先に設計されたEVだ。

軽井沢旅行に使う場合は以下のアプローチが現実的だ。

  1. 渋滞の少ない時間帯を狙う:混雑ピーク(GW前半の4月末〜5月3日の朝)は避け、GW後半の平日早朝出発を検討する
  2. SA充電を食事・休憩と合わせる:「充電のための待ち時間」ではなく「食事の間に充電する」感覚に切り替える
  3. 急がない旅に使う:N-ONE e:の真骨頂は「現地を気軽に走り回る」こと。軽井沢の細道・旧軽銀座・白糸の滝などへのアクセスこそがこの車の独壇場だ

総評

難易度:★★★★☆(計画と割り切りが必要)

東京〜軽井沢という旅程では、N-ONE e:はガソリン軽自動車の代替として使うには「1ランク複雑な計画」が必要だ。充電時間・充電回数・混雑リスクを事前に把握した上で「それも旅の一部」と割り切れるオーナーには十分に楽しめる。軽EVで長距離旅行に挑む際の最大の武器は「心の余裕と早めの計画」だ。


3車種の比較サマリー

比較項目Model Y(SC縛り)bZ4X(CHAdeMO)N-ONE e:(軽EV)
往路充電回数0〜1回0〜1回2回
充電時間(往路合計)0〜20分0〜30分60〜70分+
GW充電待ちリスク低(多基数)中(少基数)高(少基数)
充電器の利便性◎(プラグインのみ)△(カード・アプリ要)△(カード・アプリ要)
現地移動の快適性◎(むしろ軽さが有利)
往路の所要時間(目安)4〜4.5時間4〜5時間5〜6時間以上
総旅行体験のストレス度最小中程度計画次第

長距離EV旅行に向けた5つの実践的アドバイス

1. 充電計画は「アプリ」で事前にルートを確認する

Model Yはナビが自動で充電計画を組む。CHAdeMO車はABBの「e-Mobility Power」アプリ、または「EVsmart」「GoGoEV」などのマップアプリで事前に充電スポットの位置・基数・出力を確認しておくことが必須だ。

2. 大容量EVは「残量20%前後まで走り切る」のが正しい運用

EVに乗り慣れていない人ほど「残量が減ったら早めに充電しなければ」と焦りやすい。しかし大容量EVにとって、この感覚は過剰だ。

急速充電器の出力(充電速度)はバッテリー残量が低いほど高く、満充電に近づくほど自動的に絞られる。これをCCCV充電特性と呼ぶ。SOC80%を超えると充電速度が急落するため、「80%になったらすぐ外す」が急速充電の基本だ。逆に言えば、SOCが低いほど急速充電は効率よく働く

実際の数字で考えると、Model Y(約75kWh)の残量20%は約15kWh。残航続にして約90〜100kmの余力がある。東京〜軽井沢の充電スポット間隔は最大でも80〜100km程度であり、残量20%で次の充電スポットに向かっても電欠リスクはほぼない。

バッテリー残量Model Y(75kWh)の余力充電開始時の充電速度
80%約60kWh・360〜420km遅い(自動制限中)
50%約37kWh・220〜260km最大に近い
20%約15kWh・90〜100km最大(最も効率的)

「残量が心配だから早めに充電する」という行動は、実際には充電効率を下げてその場に長く縛られる結果を生む。 次の充電スポットに余裕を持って到達できる見込みがあれば、残量20%前後まで走り続けることをためらう必要はない。

もちろんN-ONE e:のような小容量バッテリー(29.6kWh)の軽EVは別の話だ。次の充電スポットまでの距離と残量を常に意識した、より小まめな充電計画が必要になる。

3. GW・お盆は充電器混雑を前提に計画する

長距離移動の集中する連休中は、SA・PAの充電器に行列ができることがある。特に1〜2基しかない設備では、前の車が充電終了後も放置していれば1時間以上待つケースもある。混雑しやすい午前9〜11時・午後2〜4時の時間帯を避けた充電計画を立てるか、余裕を持った充電ポイント設定が必要だ。

4. 宿泊先の充電設備を確認する

軽井沢にはホテル・ペンション・旅館の多くに普通充電器(6kW・8kW)が設置されている。宿泊中に夜間充電できれば、翌朝は満充電で出発できる。予約時に「EV用充電設備の有無」を確認することを旅行準備の習慣にしよう。

5. 充電時間を「観光・食事・休憩」と重ねる

「充電のために20〜30分待つ」ではなく、「昼食中に充電が完了する」ようにスケジュールを組むことが最大のコツだ。軽井沢プリンスショッピングプラザのSCやCHAdeMO充電スポットは、ショッピングや食事施設に隣接しているため、時間の無駄がない。


まとめ

同じ東京〜軽井沢2泊3日という旅行でも、乗るEVによって体験の質は大きく異なる。

**Model Y(SC縛り)**は「EVで長距離旅行するならどれが最も快適か」という問いへの現時点での答えだ。充電インフラの密度・速さ・操作性がすべて高いレベルで揃っており、旅行中に充電を意識させない体験を提供する。

bZ4Xは電費性能の大幅進化により、GW混雑の少ない時期なら充電1回以内で往復できるポテンシャルを持つ。CHAdeMOインフラの充実を待ちながら、余裕のある充電計画で動ける人には選択肢として十分成立する。

**N-ONE e:**は長距離旅行の「主役」ではなく「現地の足」として輝く車だ。軽井沢の街を気軽に走り回る体験においては、むしろ3車種の中で最も楽しいかもしれない。

EVで長距離旅行を楽しむために必要なのは、航続距離への不安ではなく**「この車の作法で旅をする」という発想の転換**だ。それさえできれば、EVの旅はガソリン車にはない快適さと面白さを持っている。


実際の旅行体験レポートは別記事で公開予定です。様々な車種を実際に運転した際の充電体験・電費データ・おすすめ充電スポットを詳しく紹介します。


長谷川

2021年よりテスラ Model 3 でEVオーナーとしてのキャリアをスタート。現在はテスラ Model 3・Model Y、Hyundai KONA、日産サクラの計4車種を保有し、日常使いから長距離走行まで実践的に運用しています。
TOCJ(Tesla Owners Club Japan)全国ミーティング、New Year EV MEET 2026、ジャパンEVラリー白馬などのEVオーナーズイベントや、Japan Mobility Showの見学など、現場での情報収集にも積極的に取り組んでいます。多数の試乗経験と4台のオーナー経験をもとに、日本におけるEVの実態を一次情報として発信。購入検討から日常運用まで、実体験に基づいた信頼性の高い情報提供を心がけています。
現在の所有車:Tesla Model 3 / Tesla Model Y / Hyundai KONA Electric / 日産サクラ
テスラ車購入時に使用できる紹介コード:
https://www.tesla.com/ja_jp/referral/hasegawa44580

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