最終確認:2026年7月22日
2026年4月1日以降に登録される車両のCEV補助金は、EV(普通車)最大130万円、軽EV最大58万円となった。一方、同じEVでもBYD各車は15万円で、車種・型式による差は大きい。本記事では、3月27日の予定額公表後に始まった正式申請、7月14日まで更新された対象車一覧、各メーカーの現在の販売状況と価格をあらためて照合した。
先に結論を言うと、補助額の主要数値はおおむね正しかった。ただし「対象車一覧に載っていること」と「現在、新車として注文できること」は同じではない。また、補助額から政府の意図を一義的に断定することもできない。
制度の現在地:予定額公表から正式受付へ
次世代自動車振興センター(NeV)は2026年3月27日に4月1日以降登録分の車種別補助額(予定)を公表し、3月31日に令和7年度補正CEV補助金の申請受付を開始した。現在の基準となるのは、その後も追加・更新されている補助対象車両一覧である。
| 区分 | 上限額 | 補足 |
|---|---|---|
| EV(普通車) | 130万円 | 車種・型式・類別により異なる |
| PHEV | 85万円 | 車種ごとに算定 |
| 軽EV | 58万円 | サクラは現行3グレードとも58万円 |
| FCV | 150万円 | MIRAI等は150万円、NEXOは147万円 |
金額は車名だけでなく型式、類別区分、登録日、自家用・事業用などで変わる。購入時は車検証に記載される型式・類別と、最新の公式一覧を販売店と確認したい。
主要EVの補助額と販売状況
| 車種 | 2026年4〜12月登録分 | 2027年1月以降 | 2026年7月時点の状況 |
|---|---|---|---|
| トヨタ bZ4X | 130万円 | 130万円 | 販売中 |
| トヨタ bZ4X Touring | 130万円 | 130万円 | 2月25日発売、販売中 |
| 日産 リーフ B5/B7 | 129万円 | 原則100万円 | 販売中。B5 Sは438万9,000円から |
| 日産 アリア | 129万円 | 原則100万円 | 販売中。B6は667万5,900円から |
| スバル ソルテラ | 129万円 | 129万円 | 販売中。ET-SS FWDは517万円から |
| スバル トレイルシーカー | 対象型式は公式一覧で確認 | 同左 | 4月発売済み。ET-SS FWDは539万円から |
| スズキ e ビターラ | 127万円 | 98万円 | 販売中。X 2WDは399万3,000円から |
| Tesla Model 3 | 127万円 | 127万円 | 販売中。Premium RWDは531万3,000円から |
| Tesla Model Y | 127万円 | 127万円 | 販売中。Premium RWDは558万7,000円から |
| Honda e | 対象型式は130万円 | 130万円 | 国内販売終了。対象一覧掲載=新規注文可能ではない |
補助対象一覧には、過去に販売された型式や登録可能な在庫車も含まれ得る。とくにHonda eや旧型式のTeslaなどは、一覧上の補助額をそのまま「現在注文できる新車の条件」と読まないよう注意が必要だ。
bZ4X Touringとトレイルシーカーは「発売予定」ではなく販売中
bZ4X Touringは2026年2月25日に発売済み。Z FWDは575万円、4WDは640万円で、FWDの一充電走行距離は734km(WLTC)、荷室容量は619L。150kW級充電器を使う場合でも、実際の受入電力や充電時間は電池温度・残量・充電器側の条件で変わる。兄弟車のスバル・トレイルシーカーも4月に発売され、現在は公式サイトで見積り・試乗案内が行われている。
BYDは各EVが15万円──ただし「中国車排除」とは断定できない
| 車種 | 1〜3月登録分 | 4〜12月登録分 | 現在のメーカー希望小売価格 |
|---|---|---|---|
| BYD DOLPHIN Baseline | 35万円 | 15万円 | 299万2,000円 |
| BYD DOLPHIN Long Range | 35万円 | 15万円 | 374万円 |
| BYD ATTO 3 | 35万円 | 15万円 | 418万円 |
| BYD SEAL | 型式により35〜45万円 | 15万円 | 495万円から |
| BYD SEALION 7 | 35万円 | 15万円 | 495万円から |
最大130万円の車種との差は115万円であり、購入比較への影響は非常に大きい。一方、経済産業省が公表する評価項目は、車両性能だけではなく、充電インフラ、アフターサービス・整備体制、サプライチェーンの安定性、サイバーセキュリティ、ライフサイクルCO2、電池のリユース・リサイクル、外部給電・災害対応、国内の脱炭素化や公正な取引など多岐にわたる。
したがって、結果としてBYD各車が15万円になり競争条件に大きな差が生じたことは事実だが、公式資料が示していない「国産電池の採用だけが減額理由」「中国車排除を目的とした制裁」とまで断定するのは適切ではない。制度設計が市場競争に与える影響については、今後も議論と検証が必要だという表現が妥当だろう。
ヒョンデは駆動方式だけで補助額を判断できない
ヒョンデは同じ車名・同じAWDでも、型式・類別・グレードにより補助額が異なる。IONIQ 5のVoyage L AWD、Voyage L+ AWD、Voyage AWDには2026年中87万円となる類別がある一方、Lounge AWDなど47万円または37万円の類別もある。IONIQ 5 Nは37万円、KONAの対象型式は47万円、INSTERは多くのグレードが47万円、Crossは37万円。単純な「FWDは87万円、AWDは47万円」という説明は誤りになるため、契約車両の型式・類別による確認が必須だ。
現在の公式価格は、INSTERが284万9,000円から、新型IONIQ 5が499万4,000円から、IONIQ 5 Nが891万円から、KONAが399万3,000円から。旧価格での比較は避けたい。
「実質購入価格」ではなく「車両価格-国補助金」の参考額
CEV補助金は通常、購入・登録後に申請して交付されるもので、店頭値引きではない。以下は比較しやすくするため、メーカー希望小売価格から国の補助額だけを差し引いた参考額である。登録諸費用、税金、保険、リサイクル料金、オプション、販売店価格、自治体補助金は含まない。
| 車種・グレード | 車両価格 | 国補助金 | 差引参考額 |
|---|---|---|---|
| 日産 サクラ S | 244万8,600円 | 58万円 | 186万8,600円 |
| 日産 サクラ X | 259万9,300円 | 58万円 | 201万9,300円 |
| 日産 サクラ G | 299万8,600円 | 58万円 | 241万8,600円 |
| スズキ e ビターラ X 2WD | 399万3,000円 | 127万円 | 272万3,000円 |
| トヨタ bZ4X G FWD | 480万円 | 130万円 | 350万円 |
| スバル ソルテラ ET-SS FWD | 517万円 | 129万円 | 388万円 |
| Tesla Model 3 Premium RWD | 531万3,000円 | 127万円 | 404万3,000円 |
| 日産 リーフ B5 S | 438万9,000円 | 129万円 | 309万9,000円 |
| トヨタ bZ4X Touring Z FWD | 575万円 | 130万円 | 445万円 |
| Tesla Model Y Premium RWD | 558万7,000円 | 127万円 | 431万7,000円 |
| BYD DOLPHIN Baseline | 299万2,000円 | 15万円 | 284万2,000円 |
| BYD SEAL/SEALION 7 | 495万円から | 15万円 | 480万円から |
自治体の上乗せは居住地、再エネ電力の導入、申請時期などで異なる。たとえば東京都の制度は条件によって大きな上乗せがあるが、全国共通の「実質価格」として表示するべきではない。
日産サクラはフルモデルチェンジではなくマイナーチェンジ
日産は2026年4月16日、サクラのマイナーチェンジを正式発表し、同日から注文を開始した。改良後モデルは夏の発売予定と案内された後、販売店では6月29日発売として案内され、現在の日産公式サイトも新仕様・新価格で購入検討を受け付けている。従来記事の「4月にフルモデルチェンジ予定」という記述は訂正する。
- 外観:G/Xはボディ同色のカラードグリルとカッパー色を配した新フロントバンパー、新デザイン15インチアルミホイールを採用。Sは従来のフロントデザインを維持。
- ボディカラー:新色「水面乃桜(ミナモノサクラ)/スターリングシルバー」2トーンを含む全10色。
- 給電:100V AC電源(最大1500W)をインストルメントパネルとラゲッジの2か所に設定。家電利用や非常時の給電に使える。
- 充電まわり:充電ポートリッドと充電コネクターにいたずら防止のロック機構を追加。
- 室内・操作性:スイッチ配置、収納、内装材などを見直し。日常の使い勝手を改善。
- 価格:S 244万8,600円、X 259万9,300円、G 299万8,600円。国補助金は全グレード58万円。
- EV基本性能:20kWhバッテリー、一充電走行距離180km(WLTC)などの基本部分は継続。今回の中心はデザイン・装備・利便性と価格の見直し。
私自身、サクラを所有している立場から見ると、100V・1500W電源と充電口ロックの追加は実用上の価値が大きい。航続距離を伸ばした全面刷新ではないものの、日常用の軽EVとして弱点を丁寧に補った改良だと感じる。
1,100億円の予算をどう見るか
令和7年度補正のCEV補助金予算は1,100億円。直前の令和6年度補正も1,100億円であり、「前年度1,291億円から減額」という比較は年度を取り違えていた。1,291億円は令和5年度補正の規模である。
車両ごとの補助額は15万円から150万円まで幅があり、EVだけでなくPHEV・FCV等も含むため、単純に平均100万円として支援台数や枯渇時期を断定することはできない。予算上限に達すれば受付終了となるが、2026年7月22日時点で年末枯渇を示す公式予測は確認できない。購入を急がせるより、最新の申請受付状況と納車・登録時期を確認する方が重要だ。
政策目標と評価基準を正確に読む
日本政府の2035年目標は「乗用車新車販売で電動車100%」であり、ここでいう電動車にはEVだけでなくHEV、PHEV、FCVも含まれる。CEV補助金の上限引き上げはEV普及支援の強化ではあるが、政府が純EVだけに一本化したことを意味しない。
またFCV上限が255万円から150万円へ下がった事実だけで、水素政策全体の優先順位低下と断定することも難しい。車両購入補助と、水素供給設備・産業政策は別枠で評価する必要がある。
申請期限と保有義務
- 2026年3月31日から申請受付中。
- 2026年5月1日以降の登録で、登録日までに車両代金の支払いが完了している場合は、原則として登録日から1か月以内。
- 登録時点で支払いが完了していない場合は、原則として登録日の翌々月末まで。
- リースなどは契約日が基準になる場合があり、登録時期による経過措置もある。
- 補助を受けた車両には原則4年(車種・用途により3年)の処分制限期間がある。期間内の売却・廃車等は事前承認と返納が必要になる場合がある。
「登録から一律1か月以内」とだけ覚えると誤る。必ずNeV公式ページの最新FAQと申請要領を確認したい。
まとめ
2026年4月以降のCEV補助金は、普通EV最大130万円、軽EV最大58万円。BYD各EVが15万円となり、最大115万円差が生じたことは事実である。ただし、その差を単一の評価項目や「中国車排除」という政策意図だけで説明することはできない。
購入判断では、補助額だけでなく、現在注文できるグレード、車両価格、納車・登録時期、自治体制度、保有義務、充電環境、アフターサービスまで含めて比較したい。サクラはフルモデルチェンジ待ちではなく、フェイスリフトと給電機能を含むマイナーチェンジ後モデルがすでに販売段階にある。
主な確認先
- 次世代自動車振興センター:令和7年度補正CEV補助金
- 経済産業省:令和7年度補正CEV補助金
- 経済産業省:車種別補助額の評価基準
- 日産:サクラ 価格・グレード
- トヨタ:bZ4X Touring発売資料
- SUBARU:トレイルシーカー
- スズキ:e ビターラ価格
- Tesla:補助金制度と現行価格
- Hyundai:カタログ・価格表
- BYD:国内ラインアップ
長谷川 孝 / ev-note.jp
Tesla Model 3・Model Y・KONA Electric・日産サクラ オーナー


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