【EVニュースまとめ】2026年5月7日|ホンダ・BYD英国首位・中古EV市場を検証(4選)

2026年5月7日前後のEV(電気自動車)業界では、メーカーの投資判断、英国市場の勢力図、米国の中古EV市場、EV普及の転換点に関する研究が注目されました。本稿では、その後に公表された一次資料も参照し、当時のニュースを現在確認できる事実に基づいて整理します。

更新情報(2026年7月26日):ホンダが2026年5月14日に公表した正式発表、BYD UK、Cox Automotive、Nature Communicationsの一次資料をもとに、数値、時系列、表現を修正しました。

1. ホンダ、カナダのEVバリューチェーン計画を無期限停止

ホンダは、カナダ・オンタリオ州で計画していた約150億カナダドル規模の包括的EVバリューチェーンについて、2025年5月13日にEV需要の減速を理由として約2年間の延期を発表しました。その後、2026年5月14日付の適時開示で、計画を無期限に停止すると正式発表しています。

当初計画には、年間最大24万台の生産能力を想定したEV完成車工場や、年間36GWh規模のバッテリー工場などが含まれていました。投資額は発表当時の換算で約107億米ドルに相当します。

ただし、停止対象はカナダで計画されていた一体型EVサプライチェーンです。これをホンダのEV開発全体からの撤退と捉えるのは適切ではありません。北米EV市場の立ち上がりが当初想定より遅いことを受けた、大型投資計画の見直しとして整理する必要があります。

一次資料:Honda Motor — Announcement Regarding the Indefinite Suspension of its Plan to Establish Comprehensive Electric Vehicle Value Chain in Ontario, Canada

注:本記事の当初公開日は2026年5月7日です。無期限停止は同年5月14日に正式発表されたため、上記には公開後の確定情報を追記しています。

2. BYD、2026年1〜4月の英国BEV登録で首位

BYDは、英国自動車工業会(SMMT)のデータに基づく2026年1〜4月の新車登録で、英国のBEV(バッテリー電気自動車)ブランド首位となりました。BEV登録台数は12,754台、市場シェアは7%超で、テスラ、Kia、BMW、Volkswagenを上回ったと発表しています。BYDによれば、個人購入者向けBEVでも首位でした。

同期間のBEVとPHEV(プラグインハイブリッド車)を合わせた登録台数は26,396台で、市場シェアは9.5%です。ただし、12,754台というBEV実績と、PHEVを含む26,396台は分けて評価する必要があります。

BYDは、英国政府のElectric Car Grant対象車を持たない状況で首位を獲得したと説明しています。これは補助対象車の基準・認定状況を示すものであり、BYDだけが政府から個別に排除されたという意味ではありません。また、ATTO 2について、当時「間もなく投入」と案内されていたのはDM-i仕様です。BEVとPHEVの車種情報を混同しないよう注意が必要です。

一次資料:BYD UK — BYD becomes UK’s largest Electric Vehicle brand

3. 米国の中古EV販売は前年比27.7%増、掲載価格差は1,012ドルに縮小

Cox Automotiveによると、2026年3月の米国中古EV販売は42,924台となり、前年同月比27.7%増、前月比53.9%増でした。中古車販売全体に占める中古EVのシェアは2.5%です。

中古EVの平均掲載価格は34,653ドルで、前年同月比6.1%下落しました。内燃機関車などを含む「ICE+」車両との平均掲載価格差も約1,012ドルまで縮小しています。従来記事で記載していた1,102ドルは、Cox Automotiveの公式値に合わせて訂正します。

ただし、34,653ドルは販売店などが提示する平均掲載価格であり、実際の平均成約価格ではありません。また、車両価格の接近だけで、保険料、充電費、修理費、金利、減価などを含む総保有コスト(TCO)の優位性が証明されたとはいえません。Cox Automotiveは、在庫と価格帯の選択肢が増え、価格に下押し圧力がかかっていることから、中古EV市場の成長が続くとの見方を示しています。

一次資料:Cox Automotive — EV Market Monitor, March 2026

4. 欧州・中国のEV普及に「転換点」の証拠——不可逆と断定はできない

Nature Communicationsに2025年12月8日付で掲載された研究は、2016〜2023年の市場データを分析し、欧州と中国でEV普及の自己強化的な転換点が既に生じているか、数年以内に生じる可能性があるとの証拠を提示しました。これは2026年5月に初めて公表された研究ではありません。

研究チームは、内燃機関車市場の回復力低下を示す統計的な兆候と、技術普及モデル「FTT:Transport」によるシミュレーションを組み合わせています。EVの普及とコスト低下が相互に作用し、移行を加速させる可能性を分析したものです。

一方、この研究をもって「内燃機関車からの不可逆的な移行が確定した」と断定するのは適切ではありません。予測結果は、車両価格、電池コスト、車種の多様性、充電環境、政策支援などの条件とモデル上の仮定に左右されます。論文も、現在の傾向だけではネットゼロ目標の達成に十分な速さではなく、政策の組み合わせが重要だと指摘しています。

一次資料:Nature Communications — Evidence of a cascading positive tipping point towards electric vehicles

まとめ

今回の4件は、EV市場を一方向の「成長」または「後退」だけで説明できないことを示しています。ホンダは北米の大型投資計画を見直す一方、BYDは英国のBEV登録で首位となりました。米国では中古EVの販売と価格競争力が改善していますが、掲載価格だけでTCOの優位性までは断定できません。欧州・中国の転換点研究についても、EV移行を裏付ける有力な分析である一方、政策や市場条件に左右されない不可逆性を証明したものではありません。

販売台数、企業の正式発表、研究結果、将来予測を区別しながら、今後も一次資料を中心にEV市場の動向を確認していきます。

長谷川

2021年よりテスラ Model 3 でEVオーナーとしてのキャリアをスタート。現在はテスラ Model 3・Model Y、Hyundai KONA、日産サクラの計4車種を保有し、日常使いから長距離走行まで実践的に運用しています。
TOCJ(Tesla Owners Club Japan)全国ミーティング、New Year EV MEET 2026、ジャパンEVラリー白馬などのEVオーナーズイベントや、Japan Mobility Showの見学など、現場での情報収集にも積極的に取り組んでいます。多数の試乗経験と4台のオーナー経験をもとに、日本におけるEVの実態を一次情報として発信。購入検討から日常運用まで、実体験に基づいた信頼性の高い情報提供を心がけています。
現在の所有車:Tesla Model 3 / Tesla Model Y / Hyundai KONA Electric / 日産サクラ
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