2026年5月7日のEV(電気自動車)業界は、大手メーカーの戦略転換から海外市場での勢力図の変化まで、多様な動きが重なった一日となった。ホンダの電動化後退、BYDの欧州躍進、そして世界的な「転換点」到達という3つの潮流が交差している。
1. ホンダ、カナダのEV工場(約110億ドル規模)を棚上げ——電動化戦略を事実上後退
ホンダがカナダ・オンタリオ州アリストンで計画していた約110億ドル(約1.6兆円)規模のEV・バッテリー製造拠点を棚上げにしたことが明らかになった。当初は年間24万台の生産能力を持つEV専用工場、36GWhのバッテリー工場などを含む大規模プロジェクトとして2024年4月に発表されたが、2025年5月に約2年間の一時停止を表明。その後の経営再編を経て、今回「棚上げ(shelve)」という表現に変わり、事実上の無期限撤退に近い状況となった。背景には米国市場でのEV需要の低迷と北米関税の不透明感がある。近期戦略はハイブリッド車(HEV)に軸足を移す方針で、手頃な価格帯のEVは2020年代末まで先送りする見通しだ。
情報源: Electrek — Honda shelves $11B Canada EV plant as its electric retreat deepens
2. BYD、英国EV販売首位を獲得——テスラ・Kia超えで市場シェア7%超(2026年)
中国の電気自動車メーカーBYD(比亜迪)が、2026年1〜4月の英国EV市場において販売台数首位に立ったことが発表された。同期間の販売台数は12,754台、市場シェアは7%超となり、これまでトップを争ってきたテスラ、Kia、BMWを上回った。プラグインハイブリッド(PHEV)を含む累計は26,396台でシェア9.5%に達している。BYDは現在、英国でDolphin Surf、Dolphin、Atto 3、Seal、Sealion 7の5車種を展開しており、近くAtto 2の投入も予定する。政府のEV補助金(Electric Car Grant)対象外にもかかわらず、一般消費者向け販売でも首位を獲得した点は注目に値する。
情報源: Electrek — BYD overtakes Tesla and Kia as the best-selling EV brand in key overseas markets
3. 中古EV販売が前年比27.7%急増、ガソリン車との価格差が1,102ドルにまで縮小(米国)
米CNBCが報じたところによると、2026年3月の米国中古EV販売台数は前年同月比27.7%増と急伸し、2月比でも53.9%の大幅増となった。中古EVの平均価格は34,653ドル(約540万円)で、前年から6.1%低下。ガソリン車との価格差はわずか1,102ドル(約17万円)まで縮小し、1年前の3,923ドル(約61万円)から大幅に改善された。EVの総保有コスト(TCO)面での競争力向上が実証されつつあり、中古EV市場の拡大が新車EV普及を後押しする循環が生まれてきている。
情報源: CNBC — Used EV sales are surging — how their ownership costs compare to gas-powered cars
4. 欧州・中国でEV普及が「転換点」到達——内燃機関車からの不可逆的シフトを確認
最新の研究により、欧州と中国のEV市場が「ティッピングポイント(転換点)」に到達し、ガソリン・ディーゼル車からの移行が不可逆的な段階に入ったことが示された。転換点とは、ある技術の普及が自律的に加速し始める臨界点を指す。両市場ではEVの販売シェアが継続的に上昇しており、充電インフラの整備、バッテリーコストの低下、消費者意識の変化が相乗効果を生んでいる。この動向は自動車産業全体の構造変化を加速させる可能性があり、日本市場への波及も注目される。
情報源: TechXplore — ‘Tipping point’ to electric vehicles reached in Europe and China
まとめ
本日のEVニュースは、市場の二極化を改めて示す内容となった。ホンダの電動化後退が示すように、EV需要の地域差や政策リスクへの対応が各メーカーの戦略を左右している。一方でBYDの英国首位獲得や欧州・中国での転換点到達は、グローバルなEVシフトの着実な進展を物語る。日本のEVユーザー・検討者にとっても、海外の動向は今後の選択肢や価格動向に直結する重要な情報だ。引き続き最新情報をお届けしていく。

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