EVは本当にお得?購入・維持・税金まで10年トータルコストを徹底計算

EVは本当にお得?購入・維持・税金まで10年トータルコストを徹底計算 EVのお金の話

最終確認:2026年7月20日

EVがガソリン車よりお得かどうかは、車両価格や補助金だけでは判断できません。充電料金、走行距離、税金、保険、タイヤ、充電設備、ローン金利、売却価格まで含めた総所有コスト(TCO)で比べる必要があります。

この記事では、2026年7月20日時点の制度と価格を使い、日産サクラGとデイズXを例に10年間の費用を試算します。将来の電気・ガソリン価格や残価は確定できないため、結果は予測ではなく、条件を置いた比較です。

結論:EVがお得になるかは3条件で大きく変わる

  • 購入時に利用できる補助金
  • 自宅で安く充電できるか
  • 年間走行距離と保有年数

国の補助金だけで年間走行距離が少ない場合、燃料費の差だけで車両価格差を回収するのは難しいことがあります。一方、自治体の上乗せを利用でき、自宅充電で長距離を走る人は、10年間の総額でEVが安くなる可能性があります。

10年TCOに含める費用

費用確認する内容
車両取得費車両価格、オプション、諸費用、補助金
エネルギー費電費・燃費、電気料金、ガソリン価格、走行距離
税金種別割、重量税、適用年度
充電設備コンセント・充電器・配線工事
保険任意保険と車両保険の実際の見積額
整備・消耗品車検、点検、タイヤ、ブレーキ、油脂類
資金調達ローン金利・手数料
売却価値10年後の下取り・売却額

TCO=購入時の支払額+保有中の費用-売却額です。保険料や残価を省く場合は「10年総額」ではなく、限定された条件の比較にすぎません。

2026年の補助金と税制

CEV補助金

普通EVの補助上限は130万円、軽EVは58万円、PHEVは85万円です。ただし、実際の交付額は車種・型式・登録日によって異なります。2026年4月1日から12月31日までに登録する代表例では、テスラModel 3/Model Yは127万円、日産サクラは58万円、BYDの対象EVは15万円です。

一部車種は2027年1月1日以降に補助額が変わります。購入時は車名だけでなく、型式と登録予定日に対応する公式一覧を確認してください。

東京都の上乗せ

東京都では、2026年7月1日以降の初度登録車について、EV・PHEVの基本額20万円に、メーカー別評価、給電機能、太陽光・再エネ電力、V2H等の加算があります。すべての条件を満たす車両では都の補助が最大130万円となる場合がありますが、誰でも一律に受け取れる金額ではありません。

税金

環境性能割は2026年3月31日で廃止されました。2026年4月以降はガソリン車にも原則として課税されないため、EVだけの追加節税額として計上しません。

EVはエコカー減税とグリーン化特例の対象です。軽EVの軽自動車税種別割は登録翌年度におおむね75%軽減されますが、その後は通常税率に戻ります。毎年8,100円安くなるわけではありません。自動車重量税の扱いも登録日・車検日により確認が必要です。

エネルギー費の計算方法

年間エネルギー費は次の式で計算できます。

  • EV:年間走行距離 ÷ 電費(km/kWh)× 1kWh当たりの充電単価
  • ガソリン車:年間走行距離 ÷ 燃費(km/L)× 1L当たりのガソリン価格

以下の試算では比較しやすくするため、年間1万km、EVの電費8km/kWh、ガソリン車の燃費23.2km/L、ガソリン170円/Lとします。自宅充電は31円/kWh、外部充電中心の場合は55円/kWhという仮定です。これらは固定された全国価格ではなく、読者が契約プランや利用サービスに合わせて変更すべき入力値です。

充電条件EVの年間電気代ガソリン車の年間燃料代EVの年間差額
自宅充電31円/kWh38,750円約73,300円約34,500円安い
外部充電55円/kWh68,750円約73,300円約4,500円安い

急速充電サービスには月額料金や時間課金もあるため、実際の1kWh相当額はサービス・車両の受入性能・気温などで変わります。

ケーススタディ:サクラGとデイズX

2026年7月時点の日産公式情報では、サクラGのメーカー希望小売価格は299万8,600円、デイズX(2WD)は147万8,400円です。両車は動力性能や装備が同一ではないため、あくまで同一メーカーの軽乗用車を使った参考比較です。

試算の共通条件

  • 保有期間:10年
  • 年間走行距離:1万km
  • サクラの国補助金:58万円
  • 自宅充電設備:10万円と仮定
  • 整備費:EVが年間1万円安いと仮定
  • 軽自動車税の差:登録翌年度の8,100円のみ
  • 任意保険・タイヤ・車検・残価:車ごとの見積差が不明なため基本試算では同額
  • 現金購入としてローン金利は含めない

保険、タイヤ、残価を「同額」とするのは、EVが必ず同額という意味ではありません。自分の見積額との差を、後述の結果に加減してください。

ケース1:国の補助金+自宅充電

補助後のサクラ車両価格241万8,600円
デイズとの購入価格差94万200円
充電設備を含む初期差104万200円
10年間のエネルギー費差約34万5,000円
10年間の整備費差(仮定)10万円
軽自動車税差8,100円
10年後の差額サクラが約58万7,000円高い

国の補助金だけでは、この条件で10年間に価格差を回収できません。ただし、サクラの残価がデイズより高い場合や、ガソリン価格・走行距離が上がる場合は差が縮まります。

ケース2:東京都の補助を最大限利用+自宅充電

仮に東京都分130万円の全条件を満たすと、サクラの補助後車両価格は111万8,600円です。充電設備10万円を加えても、デイズより購入時点で約26万円低くなります。さらに上記のエネルギー費・整備費・税金の差を加えると、10年間ではサクラが約70万円安い試算です。

ただし、最大額にはメーカー評価、給電機能、太陽光、V2H等の条件が含まれます。すでに設備を保有している場合と、補助金のために新設する場合では総費用が異なります。設備購入費を無視して「130万円得」と考えてはいけません。

ケース3:国の補助金+外部充電中心

外部充電を55円/kWh相当と仮定すると、燃料費差は10年間で約4万5,000円です。自宅充電設備は不要としても、整備費と翌年度の税軽減を含めた10年間の差額は、サクラが約78万7,000円高い試算です。外部充電中心では、EVのエネルギー費優位が小さくなります。

普通EVの旧試算が成立しない理由

Model 3 Premium RWDの現在の車両価格は531万3,000円からで、CEV補助金は127万円です。補助後は404万3,000円となります。旧記事で使用していた「598万円-127万円=471万円」という価格前提は古く、比較車との差額や「1.3年で元が取れる」という結論もそのまま利用できません。

また、Model 3とクラウンを比べる場合、駆動方式、装備、性能、保険、タイヤ、残価が異なります。「同クラス」というだけで一方が得と断定せず、実際に購入候補となる2台の見積書を使う必要があります。

メンテナンスとバッテリーの注意点

EVではエンジンオイル、スパークプラグ、排気系部品などの整備が不要です。回生ブレーキによりブレーキパッドの摩耗が抑えられる場合もあります。一方、車重、トルク、タイヤサイズ、運転方法によってはタイヤ費用が高くなる可能性があります。

駆動用バッテリーの保証条件はメーカー・車種ごとに異なります。「10年・20万kmでも必ず80%以上」「交換はまずない」と全車種について断定することはできません。購入候補車の保証年数、走行距離上限、容量保証の基準を確認してください。

V2Hは対応車種を確認

EVの電力を家庭へ供給できるV2Hは、停電対策や太陽光の自家消費に役立ちます。ただし、すべてのEVがV2Hに対応しているわけではありません。利用可能容量、変換損失、家庭の消費電力、V2H機器・工事費を含めて判断する必要があります。

自分の条件で計算する方法

  1. 購入候補2台の乗り出し価格を販売店で取得する
  2. 国・自治体の補助金を型式と登録日で確認する
  3. 年間走行距離、実電費・実燃費、充電単価、ガソリン価格を入力する
  4. 保険会社から両車の同条件見積もりを取る
  5. 充電設備、タイヤ、点検、車検の差額を加える
  6. ローンを利用する場合は総支払利息を加える
  7. 想定売却額を差し引き、楽観・標準・慎重の3ケースで比較する

年間走行距離や価格の前提を一つに固定せず、電気・ガソリン価格が上下した場合も計算しましょう。将来価格を「確実」と扱わないことが、誤解のないTCO比較につながります。

まとめ

EVは常に安いわけでも、常に高いわけでもありません。国の補助金だけで走行距離が少ない場合は、10年でも車両価格差を回収できないことがあります。一方、自治体補助、自宅充電、長い走行距離という条件が重なると、EVが総額で有利になる可能性があります。

「補助金を引いた車両価格」や「燃料費」だけで結論を出さず、保険・設備・消耗品・金利・残価まで含めて、自分が実際に購入する2台を比較するのが最も確実です。

公式情報

本記事は2026年7月20日時点の公表資料に基づきます。価格、補助制度、税制、エネルギー料金は変更される場合があります。購入・申請前に必ず最新の公式情報をご確認ください。

長谷川

2021年よりテスラ Model 3 でEVオーナーとしてのキャリアをスタート。現在はテスラ Model 3・Model Y、Hyundai KONA、日産サクラの計4車種を保有し、日常使いから長距離走行まで実践的に運用しています。
TOCJ(Tesla Owners Club Japan)全国ミーティング、New Year EV MEET 2026、ジャパンEVラリー白馬などのEVオーナーズイベントや、Japan Mobility Showの見学など、現場での情報収集にも積極的に取り組んでいます。多数の試乗経験と4台のオーナー経験をもとに、日本におけるEVの実態を一次情報として発信。購入検討から日常運用まで、実体験に基づいた信頼性の高い情報提供を心がけています。
現在の所有車:Tesla Model 3 / Tesla Model Y / Hyundai KONA Electric / 日産サクラ
テスラ車購入時に使用できる紹介コード:
https://www.tesla.com/ja_jp/referral/hasegawa44580
※この紹介リンクを経由して購入した場合、紹介者に特典が付与されることがあります。

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