【EVニュースまとめ】2026年7月25日|商用EV支援、安全性、充電高度化(注目7選)

【EVニュースまとめ】2026年7月25日|商用EV支援、安全性、充電高度化(注目7選) EVニュース

導入

7月25日のニュースを貫く変化は、EVの競争軸が単純な航続距離から、充電速度、安全性、経路案内、電力系統との連携へ広がったことである。タイでは商用車の大規模な電動化支援が検討される一方、中国ではエアサスペンションのリコールが公表された。日本の購入者にとっても、カタログ上の距離や出力だけでなく、充電環境、ソフトウェア、保証・整備体制まで含めて選ぶ必要性が高まっている。

注目ニュース

タイ、最大8万台の商用車を対象とするEV支援策を検討

タイ政府は、老朽化した商用・公共交通車両をEVへ置き換える240億バーツ規模の支援案を審査している。対象は最大8万台で、タクシー、バイクタクシー、トゥクトゥク、バス、トラックなどが候補に含まれる。融資負担の軽減などが検討されているが、予算、対象台数、支援方法はいずれも正式決定ではない。詳細はタイ副運輸相へのReuters取材を伝える記事で確認できる。

重要なのは、政策の対象が自家用乗用車だけでなく、走行距離の長い商用車へ移っている点である。稼働率の高い車両を電動化すれば燃料費と排出量への効果が大きく、充電設備や電池保守を含む運用サービスの市場も育ちやすい。

XPENG X9、前部エアサスペンションの不具合でリコール

中国当局は、対象グレードにより2023年8月8日から2025年8月11日までに生産されたXPENG X9の計3万3473台についてリコールを公表した。製造工程のばらつきで前部エアスプリングの気密性が低下し、高温多湿の環境で長期間使用すると緩やかに空気が漏れる可能性がある。極端な場合は操縦安定性に影響するため、改良済みのフロント・エアスプリングストラットへ無償交換する。公表時点で苦情586件、事故・負傷者の報告はない。対象グレードと対応内容は中国当局の公式公告に記載されている。

EV固有の電池問題ではないが、高重量のEVでは足回りの状態が乗り心地と安定性を左右する。高機能装備の多さだけでなく、日本で点検・部品交換を受けられる拠点と保証範囲を確認する重要性を示す事例である。

Denza Z9 GT、英国でBEVを10万5000ポンドから発売

BYD傘下のDenzaは、英国初投入モデルとなるZ9 GTの価格を公表した。BEVは10万5000ポンドからで、第2世代Blade Batteryの容量は122.49kWh。WLTP複合航続距離は公式詳細表で372マイル(発表見出しでは丸めて373マイル)で、FLASH Chargingでは10%から97%まで最短9分、外気温マイナス30℃では20%から97%まで12分というメーカー公称値が示されている。仕様はDenza UK公式メディア資料で確認できる。

「1500kW」は専用急速充電設備を含むFLASH Chargingシステム側の最大出力として案内されている値で、車両が一般的な充電器から常時1500kWを受け入れるという意味ではない。公式諸元表の最大DC充電出力欄も数値ではなく「FLASH Charging」と記載されている。実際の充電速度は設備の対応状況、電池温度、充電残量、車両制御などに左右され、英国で専用設備を利用できる場所も別に確認する必要がある。

Volvo EX60、EPA航続距離は最大330マイル

2027年型Volvo EX60 P10 AWDは、20または21インチホイール装着車で米EPA推定最大330マイル、22インチでは最大312マイルと認証された。SPA3の800Vシステムを採用し、事前温調した電池と最大400kW対応DC急速充電器を前提に、10分で最大165マイル分を追加できるとしている。米国・カナダ向けでは、ボルボ車として初めて純正NACSポートを備える。詳細はVolvo Cars公式発表にある。

航続距離、急速充電、端子規格を一体で設計する流れを示すモデルである。ただしEPA値を日本のWLTC値と単純比較することはできない。NACS採用も北米仕様の情報であり、日本仕様の充電端子や販売計画を示すものではない。

BYD、新型旗艦セダン「Da Han」の外観を公開

記事公開後の7月27日、BYDは大型旗艦セダン「Da Han(大漢)」の公式画像を公開したと報じられた。一方、CLTC最大1008km、1000V高電圧システム、四輪駆動仕様の合計最高出力570kWといった数値は、中国当局への届出情報などに基づく発売前情報である。1008kmの航続距離と570kWの出力は別仕様の情報であり、同一グレードが両方を備えると断定すべきではない。最新状況は公式画像公開を伝える報道で確認できる。

1008kmという数字は中国CLTC基準であり、日本の認証値や実走行距離ではない。正式発表・発売前の仕様は変更される可能性があり、日本導入も未発表である。購入判断では試験方式に加え、高速道路、冬季、空調使用時の消費電力を確認する姿勢が必要である。

フォード次世代EV、Apple Mapsを車載システムへ直接統合

AppleとFordは、AppleのMapKit for Automotive SDKを使い、2027年からFordのUniversal Electric Vehicle PlatformへApple Mapsを車載統合すると発表した。EV向け経路案内と電池の事前温調に対応し、道路レベルの地図情報を次世代BlueCruiseの開発にも活用する。既存のFord車全般へ直ちに導入されるという発表ではなく、日本導入も未発表である。内容はAppleの公式発表で確認できる。

EVでは、到着時刻だけでなく充電残量と電池温度を管理するナビが実用性を左右する。スマートフォン連携の有無だけでなく、目的地設定が車両制御までつながるかが新たな比較項目となる。

米マサチューセッツ州、家庭用EVのV2G試験を発表

EversourceとNational Gridは、EnergyHub、Sunrun、The Mobility Houseと連携し、適格な住宅顧客の双方向充電対応EVを既存のConnected Solutionsへ登録するV2G試験を発表した。需要ピーク時に車両から系統へ放電し、参加者には提供価値に応じたインセンティブを付与する。ただし公式発表では、対象車種、充電器、募集規模、個別の報酬額は示されていない。概要は5社の共同発表にある。

EVを移動手段だけでなく、電力需給を調整する蓄電池として扱う試みである。誰でも参加できる完成済みサービスではなく、適格顧客を対象とする試験である点に注意したい。収益性は、対応車種・双方向充電器、電力契約、系統連系、参加条件、電池保証を含めて評価しなければならない。

日本のEVユーザーにとっての意味

タイの支援策や米国のV2G報酬、英国価格は海外の制度・市場条件に基づくものであり、日本へそのまま適用されない。日本の補助金や電力サービスが同じ方向へ進むと断定することもできない。一方、編集部分析では、商用車の高稼働運用、双方向充電、経路案内と電池予熱の連携は、日本でもEVの実用性を測る重要な視点になる。

日常利用では「最大充電出力」より、自宅または集合住宅で必要量を毎晩戻せるかが重要である。公共充電中心なら、近隣と長距離ルート上の充電器の出力、料金体系、混雑、認証方法を確認したい。1500kWや800V、1000Vという車両側の性能も、対応設備がなければ日常の短縮効果は限定される。

電気代は電力量料金だけでなく、契約容量の変更、時間帯別料金、充電損失を含めて試算する必要がある。V2GやV2Hも、非常時の給電価値と導入費用、対応車種、電池保証を合わせて見るべきであり、海外実証の報酬額を日本での採算に置き換えてはならない。

リコール事例は整備と下取りにも関係する。輸入EVや新規参入ブランドを選ぶ場合は、国内サービス拠点、代車、部品の納期、保証継承、リコール対応履歴を確認したい。中古査定では電池の状態だけでなく、足回りの修理歴やソフトウェア更新状況も説明できるよう、点検記録を残すことが有効である。

初めてEVを購入する人へのポイント

航続距離の認証値は、同じ物差しで比較する必要がある。EPA、WLTP、CLTC、WLTCは試験方法が異なり、表示値が長い車ほど日本で必ず遠くまで走れるわけではない。普段の一日走行距離に加え、冬の高速道路や空調使用を想定し、余裕を持った車種を選ぶべきである。

  • 自宅の分電盤、契約容量、駐車位置を電気工事店に確認し、希望する3kWまたは6kW充電が可能か調べる。
  • 集合住宅では、管理規約、専用区画への配線経路、費用負担、利用者ごとの課金方法を管理組合へ確認する。
  • 販売店で日本仕様の充電端子、急速充電の最大値だけでなく、電池残量別の充電時間と予熱機能を尋ねる。
  • 電池、エアサスペンションなど高額部品の保証期間と条件、国内の整備拠点、リコール時の連絡方法を確認する。
  • 補助金を前提に契約せず、申請時期、対象グレード、保有義務、交付前の登録可否を最新の公式資料で確かめる。

充電の場所・時間・費用を整理するにはEVの充電方法完全ガイド2026、戸建てや集合住宅の設備検討にはEVの自宅充電設置ガイド2026が参考になる。

まとめ

今回の7件は、EV選びが「何km走れるか」だけでは足りないことを示している。充電性能を使える環境、故障時の支援、ナビと車両制御の連携、電力との接続まで確認してこそ、カタログ上の先進性を日常の便利さへ変えられる。海外の大きな数字に急いで結論を出さず、日本仕様と自分の駐車・走行条件に置き換えて比較することが重要である。

長谷川

2021年よりテスラ Model 3 でEVオーナーとしてのキャリアをスタート。現在はテスラ Model 3・Model Y、Hyundai KONA、日産サクラの計4車種を保有し、日常使いから長距離走行まで実践的に運用しています。
TOCJ(Tesla Owners Club Japan)全国ミーティング、New Year EV MEET 2026、ジャパンEVラリー白馬などのEVオーナーズイベントや、Japan Mobility Showの見学など、現場での情報収集にも積極的に取り組んでいます。多数の試乗経験と4台のオーナー経験をもとに、日本におけるEVの実態を一次情報として発信。購入検討から日常運用まで、実体験に基づいた信頼性の高い情報提供を心がけています。
現在の所有車:Tesla Model 3 / Tesla Model Y / Hyundai KONA Electric / 日産サクラ
テスラ車購入時に使用できる紹介コード:
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