EVで長距離旅行をするとき、カタログ航続距離だけを見て「無充電で行ける」「残量20%まで使い切ればよい」と判断するのは安全ではありません。実際の消費電力は、速度、気温、雨、向かい風、渋滞、乗車人数、空調、標高差によって変わるためです。
本記事では、東京湾岸から軽井沢まで片道約195km、現地移動を含む2泊3日・約470kmを想定し、Tesla Model Y ロングレンジAWD、Toyota bZ4X Z・4WD、Honda N-ONE e: Lの3車種を比較します。これは実走結果ではなく、2026年7月時点の公式仕様と充電設備を使った参考計画です。出発当日は、車両ナビと充電事業者の最新情報を必ず確認してください。
先に結論:3車種とも旅行可能。ただし計画は異なる
| 車種 | 往路の基本計画 | 注意点 |
|---|---|---|
| Model Y ロングレンジAWD | 満充電なら無充電到着を基本に、車両ナビが案内した場合のみ途中充電 | 到着後の軽井沢SC混雑と駐車場営業時間を確認 |
| bZ4X Z・4WD | 無充電到着も可能な距離だが、上里SAなどを予備候補に設定 | 「746km」はFWD。4WDは673km |
| N-ONE e: L | 上里SAなどで1回充電する計画を基本に、横川SAを予備候補に設定 | 登り区間と連休中の充電待ちを考慮 |
上記は好条件を保証するものではありません。次の充電地点へ到着する時点で15~20%程度を残すなど、天候や混雑に応じた余裕を設けます。車両ナビがより早い充電を指示した場合は、ナビの予測を優先してください。
比較条件と計算方法
- 東京湾岸から軽井沢まで片道約195km
- 自宅などで満充電にして出発
- 急速充電の待ち時間は基本所要時間に含めない
- カタログ値は国土交通省審査値であり、実走行を保証しない
- SOCだけでなく、車両ナビの到着予測と次の充電器までの距離を確認
- 故障・満車に備えて、第一候補と第二候補を用意
なお、SOCはバッテリー残量の割合です。同じ20%でも、車種によって残っている電力量と走れる距離は異なります。「大容量EVなら20%まで走るのが正しい」と一律に決めるのではなく、次の充電器へ安全に着けるかで判断します。
3車種の公式仕様
| 項目 | Model Y LR AWD | bZ4X Z・4WD | N-ONE e: L |
|---|---|---|---|
| 一充電走行距離 | 682km | 673km | 295km |
| バッテリー総電力量 | 日本仕様は公式非公表 | 74.7kWh | 29.6kWh |
| 高速道路モード電力量消費率 | 145Wh/km | 139Wh/km | 133Wh/km |
| 急速充電 | 最大250kW、15分で最大267km分 | 150kW器で約10→80%が約28分 | 50kW急速充電で約30分 |
Model Yのバッテリーを「約75kWh」とする情報はありますが、Teslaは日本仕様の総電力量を公式仕様として掲載していません。本記事では非公表の容量からSOCを逆算せず、車両ナビの到着予測を使います。
bZ4Xの746kmはZ・FWDの値です。Z・4WDは673kmであり、旧記事の比較はFWDと4WDの数値が混在していました。急速充電約28分も、常温時に150kW・350Aの充電器を使い、約10%から80%まで充電する場合の目安です。
ルート上の主な充電候補
Teslaスーパーチャージャー
- 高崎玉村:6基、最大130kW、24時間利用可能
- 高崎棟高(イオンモール高崎):4基、最大250kW、7:00~23:59
- 軽井沢:軽井沢・プリンスショッピングプラザ、4基、最大250kW
高崎玉村は最大250kWではなく、Tesla公式では最大130kWです。高崎棟高は最大250kWですが24時間利用ではありません。営業情報は変更される可能性があるため、Teslaアプリまたは車両ナビで確認します。
関越道・上信越道のCHAdeMO
- 上里SA・上下線:各6口、1口最大90kW
- 横川SA・上下線:各4口、1口最大90kW
設備の表示出力は、車両が常に受け取れる出力ではありません。車両側の上限、SOC、電池温度、複数台利用時の出力制御などで変わります。N-ONE e:は90kW器へ接続しても、車両側の充電性能を超えて受電しません。
Model Y ロングレンジAWDの計画
公式の高速道路モード電力量消費率145Wh/kmを単純に195kmへ掛けると、消費電力量は約28kWhです。ただし、この計算には標高差、空調、雨、風、渋滞による変化を十分に含みません。
満充電で出発し、車両ナビが無充電到着を予測しているなら、往路はそのまま軽井沢へ向かう計画が現実的です。途中充電が必要と案内された場合や、到着後の現地移動分を先に確保したい場合は、高崎玉村または高崎棟高を候補にします。
軽井沢到着後は、軽井沢スーパーチャージャーまたは宿泊施設の普通充電を利用します。連休中は充電器だけでなく施設駐車場も混雑するため、到着直後に必ず充電すると固定せず、アプリで空き状況を確認します。
bZ4X Z・4WDの計画
公式の高速道路モード電力量消費率139Wh/kmを195kmへ掛けると、単純計算では約27kWhです。総電力量74.7kWhに対して距離上は余裕がありますが、カタログ試験どおりの消費になる保証はありません。
満充電なら無充電到着を基本計画にできますが、上里SAを第一の予備候補、横川SAを次の候補として車両ナビに登録しておくと安心です。軽井沢到着後に普通充電できない場合は、往路の休憩時に必要な分だけ補充する選択肢もあります。
150kW器でも約28分という数値は条件付きです。高速道路上の90kW器や出力共有が発生する状況では、より長くかかります。30分で何%になると固定せず、必要な到着余力を確保した時点で出発します。
N-ONE e: Lの計画
N-ONE e:の高速道路モード電力量消費率は133Wh/kmです。195kmの単純計算は約26kWhとなり、総電力量29.6kWhに近づきます。さらに軽井沢方面は終盤に標高が上がるため、満充電から無充電で走り切る前提にはしません。
往路は上里SAで1回充電する計画を基本とし、横川SAを予備候補にします。上里SAまでを約120kmと仮定すると、公式高速道路モード値による単純消費は約16kWhです。旧記事の「到着時55~65%」は、この計算と整合しないため撤回します。
上里SAで車両ナビが軽井沢到着時に十分な余力を示すまで充電し、横川SAでは予測残量が減った場合や休憩が必要な場合だけ追加します。「必ず2回充電」でも「1回で必ず足りる」でもなく、天候と車両予測で判断するのが安全です。
帰路は下り勾配で往路より消費が少なくなる可能性がありますが、それを前提に充電を省略しません。宿泊中に充電し、横川SA・上里SAを候補として、東京到着時にも余裕を残します。
連休中に守りたい5つのポイント
- 第一候補と第二候補を決める:故障や満車なら無理に待たず、残量に余裕があるうちに代替先へ移動します。
- 到着予測を走行中も確認する:雨や向かい風、登り坂で予測が減ったら早めに計画を変更します。
- 急速充電で80%に固執しない:次の目的地へ安全に着ける分を確保できれば出発し、混雑時の占有を短くします。
- 宿泊充電を予約時に確認する:出力、コネクター、利用時間、予約の要否、充電後の移動ルールまで確認します。
- 電欠ぎりぎりを狙わない:充電速度を上げるために残量を減らすより、故障・迂回・渋滞へ対応できる余裕を優先します。
まとめ
東京~軽井沢は、3車種とも現実的に旅行できる距離です。Model YとbZ4Xは満充電なら無充電到着も視野に入りますが、実際の判断は車両ナビと当日の条件を優先します。N-ONE e:は途中1回の充電を基本に、横川SAを予備にする計画が安全です。
EV旅行で大切なのは「残量20%まで使い切ること」ではありません。次の充電地点へ余裕を持って到着できること、使えない場合の代替案があること、宿泊中に回復できることの3点です。


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