テスラは2026年4月3日、6人乗りSUV「Model Y L(モデルY L)」を日本で発売した。価格は749万円(税込)。2026年7月時点でも公式サイトから注文でき、全国の一部ストアでは試乗予約を受け付けている。
筆者は発表翌日の4月4日、テスラ浜松ストアに足を運び、実車を写真に収めながら詳細を確認してきた。本稿ではその一次情報を交えながら、モデルY Lのすべてをまとめる。
モデルY Lとは——5人乗りとの本質的な違い
Model Y Lは、現行Model Yをベースにホイールベースを延長し、3列6人乗り(2+2+2配置)を実現した派生モデルだ。「L」は一般にロングボディを示す名称と理解されているが、由来をTeslaが日本向け公式ページで明示しているわけではない。
中国で先行展開された後、右ハンドル市場を含むアジア太平洋地域へ販売地域が広がり、2026年4月3日に日本へ導入された。「予約殺到」「大ヒット」といった評価は公的な受注・販売台数が確認できないため、本記事では用いない。
国土交通省審査値を掲載するTeslaの日本向け資料では、全長4,980mm、全幅1,920mm、全高1,670mm。標準Model Yより全長は180mm、全高は45mm大きい。なお、Teslaの商品ページには全長4,970mmとの表記もあり、公式ページ間に10mmの差があるため、本稿では日本認証情報の4,980mmを優先する。
スペック比較
| 項目 | モデルY L | モデルY ロングレンジAWD | モデルY RWD |
|---|---|---|---|
| 価格(税込) | 749万円 | 647万6,000円 | 558万9,000円 |
| 航続距離(WLTC) | 788km | 682km | 547km |
| 0-100km/h加速 | 5.0秒 | 4.8秒 | 5.9秒 |
| 駆動方式 | デュアルモーターAWD | デュアルモーターAWD | 後輪駆動(RWD) |
| 車両重量 | 2,090kg | 1,990kg | 1,920kg |
| WLTC交流電力量消費率 | 127Wh/km | 138Wh/km | 130Wh/km |
| 座席数 | 6人(2+2+2) | 5人 | 5人 |
| ホイールベース | 3,040mm | 2,890mm | 2,890mm |
| 最大収納容量 | 2,539L | 2,138L | 2,138L |
| スーパーチャージャー最大出力 | 250kW | 250kW | 175kW |
バッテリー総容量・使用可能容量はTeslaが公表していないため、推定容量は比較表から除外した。Model Y Lは19インチ、通常のModel Yは19インチまたは20インチを選択できる。公式値ではModel Y Lの前後モーター最高出力は158kW/220kW、最大トルクは240Nm/350Nmである。
788kmは国土交通省審査値であり、同一試験基準による車種比較には有用だが、実走行距離を保証するものではない。高速走行、低温、エアコン、乗車人数、勾配などで航続距離は短くなるため、東京~大阪を必ず無充電で走れる、東京~博多へ必ず1回の充電で到達できるとは断定できない。
価格と補助金——実質いくらで買えるか
車両価格は749万円(税込)。6人乗り、デュアルモーターAWD、19インチホイール、アダプティブサスペンションなどを標準装備する。一方、ボディカラーやFSDケイパビリティなどは選択内容により追加費用が発生するため、「全部入り」とは言い切れない。
2026年度のCEV補助金は127万円。車両本体価格から単純に差し引くと622万円だが、登録諸費用やオプションを含む実際の支払総額ではない。東京都の補助は最大80万円となる場合があるものの、居住・登録・申請などの条件を満たす必要がある。
かつて日本で販売されていた6人乗りモデルXが1,000万円超だったことを思えば、749万円という価格設定のインパクトは大きい。
⚠️ 注意点:CEV補助金の受給には4年間の保有義務がある。早期売却すると補助金の返還を求められる場合があるため、購入前に必ず条件を確認されたい。
発売時のスーパーチャージャー3年間無料キャンペーン
発売時には、対象車両を2026年4月1日以降に注文し、期限内に納車を完了すると、Teslaが運営するスーパーチャージャーの充電料金が3年間無料になるキャンペーンが実施された。Model Y Lは2026年6月30日までの納車が条件だったため、2026年7月時点では終了済みの購入特典である。
特典は中古車・業務用途・Tesla以外の充電設備・駐車料金・充電終了後の超過料金には適用されず、他車や第三者へ移転できない条件だった。現在の購入条件やキャンペーンは変更されることがあるため、注文画面とTeslaの最新規約を確認したい。
浜松ストアで実車を確認した
4月3日、テスラ浜松ストアに「限定展示中」のポップとともに実車が届いていた様だ。4月4日に実際に店舗に赴き、確認できた詳細を報告する。
タイヤ・ホイール
専用の「マキナホイール」19インチを全車に標準装備。タイヤはContinental EcoContact 7S を採用しており、フロントとリアで異なるサイズを組み合わせたスタガード設定であることを現地で直接確認した。
- フロント:255/45 R19(Teslaロゴ入りセンターキャップ)
- リア:275/45 R19(Teslaロゴ入りセンターキャップ)
リアの幅をフロントより20mm広くすることで、コーナリング安定性とトラクション性能を高める設計だ。なお、公式スペック表ではこのスタガード仕様は明記されていなかったため、現地確認による一次情報だ。
外装・ボディ
展示車はパールホワイト マルチコート。フロントは標準モデルYのジュニパーフェイスを踏襲しつつ、ホイールベース延長分がリア側にしっかり反映されたプロポーションに仕上がっている。ルーフラインの再設計により、3列目が圧迫感なく収まっているのが外観からもわかる。
リアには黒いスポイラーが標準装備。テールランプなどの基本的構造は、通常のモデルYとデザイン言語を合わせながらもLらしいボリューム感がある。充電ポートはいつもの左後部の定位置だ。
フロントドアのスカッフプレートには「MODEL YYY」のロゴが刻まれたプレートが採用されており、乗降のたびにLならではのアイデンティティを感じさせる。
フランク(前部トランク)
ボンネットを開けると、バスタブ型の深い楕円形フランクが現れる。従来のモデルYと全く同一スペックと思われ、テスラ公式情報では20インチスーツケースが収まる容量とされており、実際に見ても従来のモデルYとの違いは感じられなかった。フランク内底部にはジュニパーから装備された水抜き穴も健在だ。
フランク内蓋の裏面には緩衝材付きの白いパッドが貼られており、荷物の傷付きを防ぐ配慮も同じだ。
ラゲッジ(リアトランク)
3列目シートを折り畳んだ状態のラゲッジ開口部は非常に広大だ。テールゲートの開口角度も大きく、大型の荷物でも出し入れしやすい設計になっている。
3列目シートを倒すとラゲッジ部分との間に10cm弱程度の段差が現れる。ラゲッジ蓋を持ち上げるギミックがあり段差は解消できるが、ラゲッジ蓋にはやや傾きが生じる点は残念だ。2列目シートも倒せばさらに広大な空間が広がるが、ラゲッジ部分の連続性はそれぞれの座席で途切れる。マットを敷くことである程度は吸収できるだろうが、車中泊する場合には2列目の両シート間の隙間は何らかの方法で埋める必要があるだろう。車中泊用途では通常のモデルYの方が使いやすいのは間違いない。
6人乗車時でも、フランクに20インチスーツケース、リアトランクに28インチ+20インチスーツケースが収まるとテスラは説明している。
インテリアの質感
最も印象的だったのは内装の仕上がりだ。
ドアパネルには起毛感のあるテキスタイルが広く使われ、アクセントラインはLEDで発光する。素材をアルカンターラと特定できる公式記載はないため、本稿では外観・触感に基づく「起毛調素材」と表現する。
センターコンソールのトップ面にも起毛調素材が使われ、スライド式の蓋の下には広い収納スペースがある。フロアも質感の高いカーペット仕上げだが、いずれも素材名は断定せず、浜松ストアで確認した印象として記録する。
上部がブラック系のカラーに一新されているのも2026年以降のモデルYの変更を引き継いでいる。
フロントシートは可動式ヘッドレストと電動の座面延長機構を備える。一般的なオットマンのように脚全体を支える装備ではなく、太ももを支えるサイサポートとして捉えるのが正確だ。ホールド性も従来車より高く感じられた。
センターコンソールには冷却用の送風を備えたワイヤレス充電スペースがある。最大50Wという数値は日本公式仕様表で確認できないため、対応出力は車両表示・取扱資料を確認したうえで判断したい。
2列目・3列目シート——実際に座ってみた
2列目は独立型のキャプテンシート。前後・背もたれ角度の電動調整、電動アームレスト、ワンタッチ折り畳みに対応し、シートヒーターとシートベンチレーションも備える。前後の移動幅が大きく、2列目の快適性と3列目の足元空間を調整できる。アームレストが電動で上下する動きは浜松ストアで実際に確認した。Bピラー付近には後席用の空調吹き出し口も配置されている。
3列目は、2列目背面のボタンによる電動リクライニングと、トランク側スイッチまたは後席画面による電動折り畳みに対応する。シートヒーターと3列目用の空調吹き出し口はあるが、座面・背もたれから送風するシートベンチレーションではない。日本公式ページの「ベンチレーション機能」は、英語版の「vented climate control」および中国語版の説明と照合すると、3列目空調を指す表現と判断できる。実際に着座すると膝前に拳1個分程度の余裕があり、短距離なら大人も使える空間だった。「TOP TETHER」のチャイルドシート固定アンカーも確認した。
3列目上方には独立した小ぶりなクォーターウィンドウが設けられており、後席乗員の閉塞感を和らげている。少し気になったのが2列目と3列目の間に段差があり、3列目の床面が若干高くなっていることだ。車内を2列目から3列目へ移動する際に足が引っかかりやすく、3列目に着座した際の若干の窮屈さ、足の置き場の制約にもつながっている。
車両スペック(UI画面から直接確認)
ソフトウェア画面から以下の情報を直接確認した。
- 車名表示:MODEL YYY DUAL MOTOR(Yのロゴが3本ストライプの新デザイン)
- AIコンピューター:フルセルフドライビング コンピューター4(FSD HW4)
- ソフトウェアバージョン:2026.2.300
- ナビデータ:JP-2026.2
- 走行距離:5km(ほぼ新車状態)
- 充電限度80%での航続表示:442km(展示車のバッテリー状態での実測値) 100%換算すると約553kmとなる
展示車の画面でFSD Computer 4(HW4)搭載を確認した。ただし、HW4という車載コンピューターの搭載、FSDケイパビリティのソフトウェア購入、日本でのFSD(Supervised)提供開始はそれぞれ別の話である。テスラジャパンは2026年末を目標として説明しているが、2026年7月時点で日本はTesla公式の提供国一覧に含まれず、規制当局の承認などにも左右されるため、開始時期が確定したとは表現できない。
オーディオシステム
展示デモモードでは十分な試聴ができなかった。Teslaの日本語商品ページは現在「19スピーカー」と案内しており、英語ページでは「18スピーカー+1サブウーファー」と説明している。総数の数え方の違いで、構成としては18基のスピーカーと1基のサブウーファーと理解できる。
Powershare(外部給電)の日本対応
2026年7月時点の日本語版オーナーズマニュアルには、6人乗りModel Yのみを対象として、充電ポートに純正コンセントアダプターを接続し、車両のバッテリーから機器へ給電するPowershare機能が掲載されている。バッテリー残量10%未満では作動せず、タッチスクリーンまたはアプリで放電下限を設定できる。
一方、マニュアルは「装備されている場合」「地域で利用可能な場合」と条件を付けており、日本向けコンセントアダプターの販売開始は確認できない。したがって、車両側の対応情報は公式化されたが、日本国内で直ちにV2Lを利用できるとは断定しない。アダプターの国内販売とTeslaの正式案内を待つ必要がある。
公式情報:Tesla「チャージポートから機器に電力を供給する(6人乗りのみ)」
テスラの日本戦略——「輸入車ナンバーワン」への布石
テスラジャパンの橋本社長は「まずは輸入車ナンバーワン」を目標に掲げ、2026年末までに日本の店舗数を現在の23店舗から50店舗へ倍増させる計画を明言している。
モデルY Lは、日本で圧倒的な需要を誇るアルファード・ヴォクシー等の3列シート車市場へ直接切り込む商品だ。全長約5mはアルファード(全長4,995mm)とほぼ同サイズ。ミニバン需要のEV代替として狙っていることは間違い無いだろう。中国とは異なり、競合となるEVがID.Buzzくらいしかないため、可能性はある。
日本でFSD(Supervised)が提供されれば、3列SUVとしての利便性をさらに高める可能性はある。ただし、現在利用できる運転支援はドライバーの監視を前提とし、車両が自律走行するものではない。提供時期や利用可能機能を購入判断の前提にしすぎない方がよい。
まとめ——買いか、待ちか
Model Y Lは、6人乗り、788kmのWLTC航続距離、最大250kW充電、広い収納、充実した後席装備を組み合わせた、日本では選択肢の少ない3列EVだ。発売時のスーパーチャージャー3年無料キャンペーンは終了しており、HW4搭載も日本でのFSD提供を保証するものではない。
少し極論で私なりに一言でまとめると、以下の様になるだろうか。
通常のモデルY → 一人で車中泊の旅が快適
モデルY L → 大人4人の移動が快適
さすがに雑すぎるので、以下に要点をまとめたい。
こんな人に向いている:
- 3列シートのEVを探している
- 長距離移動が多いファミリー
- FSDの日本展開に期待している
- スーパーチャージャーネットワークを積極活用できる環境にある
慎重に検討すべき点:
- CEV補助金には4年間の保有義務がある
- Powershareは日本語マニュアルに掲載されたが、国内向け純正アダプターの販売状況は要確認
- 補助金予算は先着順で終了次第終了
- 788kmは審査値で、実際の高速道路航続距離とは異なる
749万円からCEV補助金127万円を単純控除すると622万円となり、6人乗りEVとして有力な選択肢になる。ただし、登録諸費用、自治体補助の条件、実航続距離、3列目の利用頻度、Powershareアダプターの提供状況を確認したい。FSD Computer 4の将来機能や中古車価値は保証されないため、「投資」としてではなく、現在利用できる機能と車両価値で判断するのが妥当だ。
日本のミニバン市場に、完全電動の価値を持って切り込む存在が現れたと言えるだろう。
基本スペック(まとめ)
- 価格:749万円(税込)
- CEV補助金:127万円(車両価格との差額は622万円。諸費用別)
- 航続距離:788km(国土交通省審査値)/WLTC電費127Wh/km
- 駆動:デュアルモーターAWD(前158kW/後220kW)
- 座席:6人(2+2+2)
- タイヤ:Continental EcoContact 7S(Fr:255/45R19 / Rr:275/45R19)
- AIコンピューター:FSD Computer 4
- ソフトウェア:2026.2.300(確認時)
- スーパーチャージャー:最大250kW、15分で最大288km分(発売時の3年間無料特典は終了)
関連リンク
取材:テスラ浜松ストア(2026年4月4日)


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